金額で分散せず、リスク量が一定になるよう配分を調整
前回の続きです。
さて、逆相関や無相関の銘柄組み合わせが見つかった場合、実際にどのようなアロケーション「配分」をすればいいでしょうか?
多くの場合、銘柄やアセットクラスのアロケーションは金額(またはその割合)で決めています。例えば、日本株25%、外国株25%、日本債券25%、外国債券25%(年金を運用するGPIFの場合)等です。しかし、これではリスクの高いアセットクラスとリスクの低いアセットクラスを組み合わせた場合、ほぼリスクの高いアセットクラスの影響のみが出てきて、分散の効果があまり出てきません。
そこで、最近のいくつかのプライベートバンクでは、対象のアセットクラスまたは銘柄を金額で分散するのではなく、リスク量の割合が一定になるように配分を調整していくという運用手法を採用しています。
リスクを下げ「資産を減らさない運用」を追求
投資対象(資産クラス)または銘柄からのリスク量を常に計算・確認し、リスク量が一定になるように分散を図るのです。この考え方は「リスク・バジェティング」「リスク・パリティ」と呼ばれます。
投資対象も、必ずしも株式や債券に限りません。逆相関、無相関のアセットクラスや銘柄を探し、ヘッジファンドや未公開株、不動産、商品を対象としたファンドなど幅広い対象から選択します。
そのことによって、リスク量は劇的に下がります。安定したリターンが可能になれば、あとは時間をかけた複利運用でじっくり、資産を増やしていくだけです。リスクを下げ、資産を「減らさない」運用を追求していくと、長期的に資産を大きく増やすことが可能になるのです(図表1〜3)。
[図表1]リスクコントロールのシュミレーション(1)
[図表2]リスクコントロールのシュミレーション(2)
[図表3]リスクコントロールのシュミレーション(3)