アジアの富裕層と比べ「株式」の割合が非常に高い
欧州及び米国の富裕層は、ポートフォリオの中に占める株式の割合が日本及びアジアの富裕層と比べ非常に高いという特徴があります。
これは欧州及び米国の株式市場が10年単位で見たときに上昇トレンドを維持していることが一つの理由として考えられます。もう一つは、欧州の富裕層が本当に10年単位という長期で投資を考えられているからです。残念ながら日本の富裕層は短期志向の方が多く、1カ月単位で損益を気にされる人も少なくありません。
ポートフォリオの実例に見る具体的な株式の割合
実際、NHB(ノイエ・ヘルベティシュ)から提供されたポートフォリオの例を見ると、富裕層が委託している資産の管理会社で「ダイナミック・ハイリスク」(スイス株投資)型のポートフォリオは、99%がスイス株式(14銘柄)です(図表1)。
[図表1]ダイナミック・ハイリスク
60%を株式に投資「バランス・ミディアムリスク」型
他の例として富裕層が委託している「バランス・ミディアムリスク」型のポートフォリオでも60%が株式となっています(図表2)。そのうち、スイス株式が21銘柄、42%で、その他欧州株式が16銘柄、18%となっています。債券は27銘柄ですが、割合は34%に留まります。
[図表2]バランス・ミディアムリスク①
図表3も同じく「バランス・ミディアムリスク」型のポートフォリオの別例ですが年金基金の運用は規制があるため、債券が27銘柄、49%となり、株式は46%(うちスイス株式が27%、その他欧州株式が19%)、派生商品が3%、現預金が2%となっています。
NHBではポートフォリオのアロケーション・パターンとして「ダイナミック・ハイリスク」型や「バランス・ミディアムリスク」型という投資戦略の名称を使っていますが、実際のアロケーションは顧客別に個別に作られています。また、目標リターンや目標リスクなどは特に設けていません。それは、同じ投資戦略でも、リターンやリスクは基準通貨、投資先通貨、さらに投資先国の株式市場や金利環境で変わるためです。
グラフからも日本の富裕層のポートフォリオと比べ、株式が多く債券が少ないことが分かります。
[図表3]バランス・ミディアムリスク②