前回は、株式市場の「習性」を利用したリスクコントロールについて取り上げました。今回は、投資パフォーマンスを測る「シャープレシオ」の概要について見ていきます。

株式投資の最重要理論「資本資産価格モデル」の基本

リスクコントロールとは、一定の範囲内でリスクを抑え、管理する方法論です。一方で、許容したリスクに対してリターンが適切に得られているか調べる上で、よく使われる測定方法として「シャープレシオ」があります。欧米の金融機関やプロの投資家は「シャープレシオ」を投資パフォーマンスの尺度としてよく使います。

 

これは、ノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者のウイリアム・シャープ博士が考案したもので、現代の株式投資における最重要理論である「資本資産価格モデル」(Capital Asset Pricing Model:CAPM)の基本となっています。

標準偏差を使ってリスクとリターンを数値化

こういうとなんだか難しそうですが、理屈は簡単です。

 

1のリスクに対して1のリターンが期待できるのであれば(シャープレシオ=1)、投資としてバランスが取れていると言えるでしょう。

 

しかし、1のリスクに対して半分のリターンしか期待できないのであれば(シャープレシオ=0.5)、リスクのほうが大きく、投資としてバランスが取れていません。逆に、1のリスクに対して2のリターンが期待できれば(シャープレシオ=2)、非常に”おいしい”投資だといえます。

 

繰り返しになりますが、投資においてはリスクとリターンの関係が非常に重要です。投資ではよく「利回り」に注目し、5%の利回りより10%の利回りのほうが有利なように考えがちです。しかし、利回り10%の投資対象には一方で最大30%まで値下がりするリスクがあり、利回り5%の投資対象には最大で5%の値下がりリスクしかないとしたらどうでしょう。

 

安定した運用を考え、しかも長期での複利運用を行うなら、利回り5%の投資対象のほうがはるかに有利だといえます。

 

「シャープレシオ」は具体的には、一定期間において、資産価値の変動の度合い(標準偏差)に対し、リスクがゼロの安全資産(通常は国債)の利子率を上回るリターンがどれくらいかで計算します。リターンから安全資産の利子率を引くのは、表面的なリターンではなく、実質的なリターンを見るためです。

 

シャープレシオ = (一定期間のリターン - 安全資産の利子率) ÷ 標準偏差

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