金融の世界では「リスク=不確実性」のこと
前回の続きです。
それでは、株式市場が長期的に必ずしも上昇しなくなった場合(バブル崩壊後の日本市場のような場合)はどうすればいいのでしょうか?
この場合も「価格は下がる時は急に激しく、上がる時には少しずつゆっくりと動く」習性を利用することになります。急に激しく動く場合、リスクは高い状態です。一方でゆっくりと少しずつ動く場合、リスクは低い状態です。
一般的な意味でリスクとは「危険」を指すことが多いようですが、金融の世界でリスクというのは「不確実性」(価格のブレの大きさ)のことであり、損失だけでなく利益についても使います。変動幅が小さければ「リスクが低い」、逆に変動幅が大きければ「リスクが高い」ということです。
一般的にリスクとリターンは比例すると言われ、それは理論的には真実ですが、現実的に気を付けなければならないのは、「リスクは非常に高いけれど、リターンはそれに比べてはるかに少ない」といったケースです。こちらは、商品を組成する過程や販売の過程でコストがかかればリターンが減るので、あり得ます。
実は、金融市場にはそういうバランスの悪い投資対象や金融商品が溢れています。なぜなら、買う側にとって「リスクは非常に高いけれど、リターンはそれに比べてはるかに少ない」金融商品は、売る側にとっては逆に「リターン(手数料等)は非常に大きいけれど、リスクははるかに少ない」からです。
投資のタイミングでパフォーマンスは改善される!?
さて話を戻し、「価格は下がる時は急に激しく、上がる時には少しずつゆっくりと動く」という習性を利用し(銘柄選択ではなく)、投資のタイミングを選ぶことでパフォーマンスを改善する投資戦略があります。
何より市場のリスクが上がった時に投資を減らすことでリスクを減らし、結果として損失を抑えること、すなわち「資産を減らさない」ことを実施します。これをリスクコントロールと言います。金融のプロの間では、ボラティリティ・コントロールとも言われています。
実際に指数そのものとボラティリティ・コントロールを付けた場合のパフォーマンスの違いをグラフで見てみましょう。長期的にボラティリティ(リスク)をコントロールすると、パフォーマンスが良くなることがわかります(図表)。
[図表]長期のリスクコントロール