前回は、不動産売却に失敗した事例を取り上げました。今回は、高級住宅地に潜むビジネスチャンスについて見ていきます。

商店などが作れなかった高級住宅地だが・・・

東京の田園調布や兵庫の芦屋など、日本を代表する高級住宅地などは、「第1種低層住居専用地域」といって、商店などの建築物は作れないのが決まりでした。

 

高級住宅地は閑静で、高いビルなどもないため景観も良く、住みやすい場所として高級感を保ってきましたが、一方でスーパーやコンビニまでの距離が遠いなど不便な部分もあります。この問題は、とくに高齢者に顕著に表れています。それが「コンビニ難民」です。

 

2016年5月29日付の読売新聞によれば、「コンビニ難民」「買物弱者」対策として、第1種低層住居専用地域内でもコンビニが出店できるようにする計画があるそうです。建築基準法の規制を条件付きで緩和するということですので、今後、高級住宅地での不動産屋の仕事が増えていくでしょう。

規制が緩和されれば、新たなビジネスチャンスも

事務所や店舗などは、保証金や敷金、手数料が多額になるうえに家賃も高くなります。高級住宅地などはとくに、土地の評価が高いために固定資産税や都市計画税が高く、さらには相続税も高額になります。

 

会社などの商売をやっていない家は、3代で資産が尽き、4代目はその土地に住めなくなると言われています。2代目が相続税を払うために土地を半分売る、3代目もまた土地を半分売って相続税を払いますが、それ以上は土地を切り売りできません。

 

たとえば田園調布などは建蔽率40%、容積率80%と定められているため、100坪の土地があっても、その土地に建てる建物の建築面積は40坪だけで、せいぜい2階建てくらいしか建てられないのです。そのため、切り売りは40~50坪までしかできないことになります。

 

そのうえに、高級住宅地等では「建築協定」なるものがあります。これはその地域の住民の合意で作られる建築規制のことで、その土地に住む人は必ず守らなければならないというしばりがあるのです。「最低敷地制限」やら「壁の位置」「構造」「用途」「形態」「意匠」等いろいろなしばりがあるのです。ですから、それ以上坪数が減ると、建築協定に違反してしまうということです。

 

こんなに厳しいところで、それまでコンビニを出店できなかった地域に新たにコンビニができるとなれば、その近くで家賃収入を得たい人もいると考えられます。この規制緩和がビジネスチャンスになると言っても過言ではないでしょう。

本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『誰も知らない不動産屋のウラ話』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

誰も知らない不動産屋のウラ話

誰も知らない不動産屋のウラ話

川嶋 謙一

幻冬舎メディアコンサルティング

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