非営利団体は何を「売り物」にして収益を上げているのか?

今回は、非営利団体は何を「売り物」にして収益を上げているのか紹介します。※本連載は、非営利団体のファンドレイジング力(資金調達力)向上事業に従事し、これまで全国200カ所以上のファンドレイジングセミナーに講師として登壇した実績を持つ、ファンドレイジング・ラボ代表・徳永洋子氏の著書、『非営利団体の資金調達ハンドブック』(時事通信出版局)の中から一部を抜粋し、非営利団体として事業収入・収益を上げるノウハウを解説していきます。

収益事業のほとんどは企業と同じ内容

NPO法人、公益法人、社会福祉法人などの非営利団体が収益を上げようとして行う事業のほとんどは企業が行っているものと同じ内容です。例えば「レストランを繁盛させる」ノウハウは、規模の違いこそあれ、地域のコミュニティレストランであっても大手チェーン店と共通するものでしょう。そこで、事業に際しては、営利企業のノウハウから学ぶ姿勢が必要になります。

 

その一方で、社会的な意義を考えると、商品やサービスを営利企業よりも低価格で提供しなくてはならないケースがあるのも非営利団体の特性です。例えば、ある社会課題について啓発を目的とした「映画上映会」を行うとしたら、できるだけ多くの人たちに観てもらうために、一般の映画館より入場料を低めに設定する必要があるでしょう。

 

しかし、非営利団体の商品ということで、一般価格よりも割高でも購入してもらえる場合もあります。障がい者の作業所で作られたクッキーは、スーパーで売られているクッキーより値段が高かったりします。それでも、「あの子たちががんばって作ったもの」ということで購入してもらえたりします。まさに、ミッションへの共感が購入行動につながるわけです。

 

そこで、事業自体から収益を上げようとする際に、団体のミッションと事業の収益性の整合性が問われてきます。この「整合性」については、「ミッションとの整合性と収益性」に関する今後掲載の記事でご紹介します。

 

非営利団体ならではの価値、すなわち社会の課題の解決のための組織という特性を生かして、「共感」による購入やボランティアの「参加」協力を得ながら収益を上げていくことを考えなくてはなりません。キーワードは「共感」と「参加」です。このことについては、「「 共感」と「参加」で収益を上げる」に関する今後掲載の記事を参照してください。

「課題の解決につながるサービス」の購入者とは?

非営利団体が収益を上げるためには、何が「売り物=商品」となるのでしょうか。大きく5本の柱が考えられます。

 

1)サービスの商品化

 

課題の解決につながるサービスの購入者は下記の2つに分けられます。

 

①課題解決の対象となる当事者

 

ミッションに掲げている社会の課題の解決の対象となる当事者から対価を得るものです。例えば、子育て支援団体による病児保育は、子どもが病気にかかると保育園では預かってもらえないという、働く母親にとって大きな課題を解決するために生まれたサービスですが、このサービスについては、当事者である母親が託児料金を払います。また、高齢者への食事の宅配サービスなども当事者から対価を得て提供されています。

 

②課題解決に賛同・共感した人

 

コミュニティカフェやコミュニティレストランは、地域コミュニティの再生というミッションに賛同する人が集う場で、来店者はそこで提供される飲食サービスに対して対価を払います。オンライン英会話事業を通じてフィリピンの貧困問題の解決に取り組む団体の英語レッスンを受ける人は、単に安価な個人レッスンというだけではなく、その背景にあるフィリピンの若者の夢と自立を実現するミッションに共感していることが考えられます。

 

次回に続きます。

ファンドレイジング・ラボ 代表

日本ファンドレイジング協会理事
佐賀未来創造基金 理事

東京都出身。大学卒業後、三菱商事に勤務。1998年から日本フィランソロピー協会で視覚障害者向け録音図書のネット配信事業「声の花束」を担当。2000年よりシーズ・市民活動を支える制度をつくる会で、おもに非営利団体のファンドレイジング力(資金調達力)向上事業に従事。そのプロジェクトの一環として、日本ファンドレイジング協会設立を担当し、2009年2月、同協会設立と同時に同協会事務局次長となり、2012年6月より2014年12月末まで同協会事務局長をつとめた。現在、同協会理事。
2015年2月に「ファンドレイジング・ラボ」(http://fundraising-lab.jp/)を立ち上げ、「3分間ファンドレイジング講座」をウェブサイトで連載。非営利団体のファンドレイジング力向上と寄付文化の醸成を目指して、講演、コンサルティング、執筆などを行っている。これまで全国200カ所以上のファンドレイジングセミナーに講師として登壇。受講者は1万人を超えている。

著者紹介

連載非営利団体のための「事業収入」を高めるノウハウ

非営利団体の 資金調達ハンドブック

非営利団体の 資金調達ハンドブック

徳永 洋子

時事通信出版局

全国に10万超あるNPOの悩みの種。「資金獲得のノウハウ」を初めて集大成。全国10万超のNPOの最大の悩み「資金をどう獲得するか?」。その答えを初めて、具体的に書きました。 寄付の依頼には手法があります。イベントに集客す…

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