団体運営に参加する「支援者」の協力に期待
前回の続きです。
2.参加
非営利団体では、寄付者、会員、ボランティアといった、「支援者」と呼ばれる人たちがさまざまな立場と方法で団体の運営に参加して、課題解決活動を支えています。事業で収益を上げていく際にも、支援者の参加による協力が期待されます。具体的には、下記の3つの協力が期待できます。
1)販路の拡大
前項で「支援者が顧客を連れてきてくれる」ことを説明しましたが、販路の拡大にも貢献してもらえます。例えば、支援者が経営する店舗で商品を販売してくれる、あるいは知り合いの店舗を紹介してくれるといった可能性です。
大事なのは支援者の声に耳を傾け、事業を進める姿勢
2)人件費削減
事業にボランティアとして参加してもらうことは、人件費の軽減で収益率の向上が期待されます。時間と労力を提供してくれるボランティアは非営利団体ならではの貴重な人的資源です。具体的には、商品の発送作業、在庫管理、あるいはサービス提供時にスタッフとして手伝ってくれるということで、事業の際に最も大きな負担となる人件費の削減に寄与してもらえます。
3)支援者による商品開発
団体のミッションに共感している支援者ならではの事業への助言が新しい商品開発につながります。例えば、コミュニティカフェのスタッフを地域の女性がボランティアで務めているとします。支援者でもあるその人は、何人かのお年寄りが決まった時間帯にコーヒーを飲みにくることに気づきます。そこから顔見知りの会話が始まっていることにも気づきます。それぞれが編み物や手芸等を趣味にしている話も耳にします。
そのコミュニティカフェの運営団体の「優しさでつながる地域づくり」や「みんなの居場所づくり」といったミッションに共感しているボランティアは、早速、レストランの一角のテーブルをつなげて、お茶とケーキを楽しみながらお年寄りが教える「手芸教室」のアイデアを出して実現し、食事時間帯以外の集客にもつなげていきます。
それを見た別の支援者は、知り合いの著名な手芸家を年に数回、ボランティア講師として招くことを提案して、人気イベントの開催につなげます。また、レジの横で手芸品の物販も行うなど、いろいろな収益の上げ方が実現します。
非営利団体の強みである、「参加のチカラ」を生かして収益を上げていくためには、積極的に支援者の参加を促し、その声に耳を傾け、事業を進めていく姿勢が求められます。