非営利団体にとっての「事業収入」とは?

本連載は、非営利団体のファンドレイジング力(資金調達力)向上事業に従事し、これまで全国200カ所以上のファンドレイジングセミナーに講師として登壇した実績を持つ、ファンドレイジング・ラボ代表・徳永洋子氏の著書、『非営利団体の資金調達ハンドブック』(時事通信出版局)の中から一部を抜粋し、非営利団体として事業収入・収益を上げるノウハウを解説していきます。

「非営利」とは「利益を分配しない」という制約を意味

<ポイント>

 

●「営利」と「非営利」の違いは、利益を組織構成員が分配するか分配しないかであって、利益を上げるか否かではない

●非営利団体が事業を実施する際には、営利企業のノウハウから学び、社会の課題解決を行う組織という特性を生かして収益を上げていく

●非営利団体が「売れるもの」は、社会の課題解決を商品化したものである

 

 

非営利団体の財源の安定のためには、助成金や補助金に依存するのではなく、寄付、会費、事業収入といった自主財源の比率を高めていかねばなりません。その一方で、「NPO価格」という言葉が表すように、「NPO(非営利団体)だから、その商品やサービスは安くて当然だ」という考え方をされたりします。ここでは、まず、非営利団体が事業収益を上げることについての基本的な考え方を確認し、非営利団体らしい収益の上げ方について考えます。

 

「営利団体」とは、経済的な利益を目的として営まれる組織です。そして、その利益は組織構成員が分配します。例えば、株式会社は、株主が出資して会社を運営し、事業からの利益を株主に配当して還元します。

 

それに対して、「非営利団体」とは、経済的な利益ではなく、社会の課題解決を目的として営まれる組織です。そして、利益を上げてもその利益を構成員(会員)に配分せずに、社会の課題活動に還元していきます。つまり、「非営利」とは、利益を上げてはいけないという意味ではなく、その利益を配分しないという制約を意味するものです。

一般企業と同様、従業員に給料も賞与も払える

この場合の「配分できない」というのは、「利益が出たからといって、会員や寄付者に配当金を出して還元することはできない」という意味です。当然のことですが、団体の従業員に給料を払うことはできますし、一般企業と同じように賞与も払えます。「NPO(非営利団体)が儲けるのはいかがなものか」という考え方は間違いです。

 

商品やサービスを提供して対価を得ることは問題ありません。その際、企業の目的が「収益を上げるために活動する」ことであるのに対して、非営利団体の目的は、「活動のために収益を上げる」ことだという違いだけは忘れてはならない点です。収益を社会の課題を解決する活動に生かす、すなわち、社会に還元しなくてはなりません。

ファンドレイジング・ラボ 代表

日本ファンドレイジング協会理事
佐賀未来創造基金 理事

東京都出身。大学卒業後、三菱商事に勤務。1998年から日本フィランソロピー協会で視覚障害者向け録音図書のネット配信事業「声の花束」を担当。2000年よりシーズ・市民活動を支える制度をつくる会で、おもに非営利団体のファンドレイジング力(資金調達力)向上事業に従事。そのプロジェクトの一環として、日本ファンドレイジング協会設立を担当し、2009年2月、同協会設立と同時に同協会事務局次長となり、2012年6月より2014年12月末まで同協会事務局長をつとめた。現在、同協会理事。
2015年2月に「ファンドレイジング・ラボ」(http://fundraising-lab.jp/)を立ち上げ、「3分間ファンドレイジング講座」をウェブサイトで連載。非営利団体のファンドレイジング力向上と寄付文化の醸成を目指して、講演、コンサルティング、執筆などを行っている。これまで全国200カ所以上のファンドレイジングセミナーに講師として登壇。受講者は1万人を超えている。

著者紹介

連載非営利団体のための「事業収入」を高めるノウハウ

非営利団体の 資金調達ハンドブック

非営利団体の 資金調達ハンドブック

徳永 洋子

時事通信出版局

全国に10万超あるNPOの悩みの種。「資金獲得のノウハウ」を初めて集大成。全国10万超のNPOの最大の悩み「資金をどう獲得するか?」。その答えを初めて、具体的に書きました。 寄付の依頼には手法があります。イベントに集客す…

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