「簡潔に事業計画を語れる」ことが支援の糸口に
<ポイント>
●事業計画をエレベータートークにまとめて、おおよそ1分くらいのスピーチで話せるようにしておくと、支援を募るチャンスを逃さない
●エレベータートークの最後に、おおよそ「何を求めているのか」を示しておくと、「面倒なことを頼まれたら大変だ!」と思われない
事業への協力を募るために、事業計画をエレベータートークにまとめて、おおよそ1分くらいのスピーチで話せるようにしておきましょう。その方法を解説します。
事業の実施には、初期費用が必要な場合があります。また、物品や場所の提供、商品やサービスの購入、販路の拡大など、団体外部の人たちからの支援や協力を得られることが事業の実施に大きな助けになったりします。
そのためには、簡単に事業計画を語れるようにしておく必要があります。内部では「6W2H」を議論し、綿密な計画を練っていたとして、外部の人にはじめからすべてを聞いてもらえる機会は滅多にありません。団体の支援者が集まる機会に簡単に説明して、詳細は資料として配布して、関心を抱いた人には別途集まってもらって協力をあおぐ、あるいは、有力な支援者や企業等に対して、まずは簡単にまとめた書状を送って、面会を依頼して、後日詳しく説明して支援を請うといった手法が求められます。
その時のために、事業計画をエレベータートークにまとめて、おおよそ1分くらいのスピーチで話せるようにします。これで関心を持ってもらって、後日、より詳細な説明と具体的な支援を依頼する機会を得るわけです。エレベータートークについては、筆者著書『非営利団体の資金調達ハンドブック』内での「エレベータートークの作成」でも説明しましたが、原稿を書くとすれば字数は300文字から350文字。人が1分間で話す量の平均がそのくらいだからです。
「お願い」を盛り込んで求めているものを明確化
今回は、事業への協力を求めるのが目的ですから、最後の「よろしくお願いいたします」の部分には、下記のような、簡単な依頼ごとを書きます。
例)
●一度、ご面会して事業へのご助言をいただきたいので、よろしくお願いいたします。
●××月××日から立ち上げ資金のクラウドファンディングを始めるので、ご協力よろしくお願いいたします。
●この商品を販売してくださる地域の商店をご紹介いただきたく、一度ご相談に伺いたいので、よろしくお願いいたします。
●××月××日に開店しますので、お立ち寄りください。詳細は別紙のチラシをご覧ください。お待ちしております。
●この事業はご支援者とともに進めていきたいと考えています。××月××日にボランティア説明会を開催しますので、ご参加ください。
このような「お願い」を盛り込んで、おおよそ「何を求めているのか」を示しておくと、「面倒なことを頼まれたら大変だ!」と思われないでしょう。これを元に、手紙を書くこともできます。ビデオメッセージにして団体のホームページに掲載してもよいでしょう。エレベータートークの基本通りに、「全てを語ろうとしない」、「まずは関心を持ってもらう」という2点に注力して文章化してください。この文章を団体内で共有して、事業への協力を得るツールにしてください。
1分で話したい内容を360文字にまとめた例を掲載します。これを目安にして、事業への支援を依頼するエレベータートークを書いてみてください。
<エレベータートークの例>(架空の団体です)
環境教育ネットの鈴木太郎です。私たちは、未来の地球を担う子どもたちに、人と地球環境との関わりに関心を持ってもらい、環境を守ることの大切さを伝える活動を行っています。
具体的には子どもたちの自然体験教室を開催したり、小学校の先生方と環境教育プログラムを開発したりして、各地の小学校の総合学習の時間に実施してもらっています。
今回、子どもたちがより楽しく環境について学べるゲームを開発しようと計画しています。環境をテーマに、未来の世界を擬似体験することによって、そこに存在するさまざまな環境問題について学び、その解決の道について考えることを目的としたシミュレーションゲームです。すごろくとカードを合わせたものをイメージしています。
ぜひ御社にご協力いただきたく、一度ご説明にお伺いさせてください。よろしくお願いいたします。