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キーワードは共感と参加 非営利団体らしい「収益の上げ方」

今回は、非営利団体らしい「収益の上げ方」を見ていきます。※本連載は、非営利団体のファンドレイジング力(資金調達力)向上事業に従事し、これまで全国200カ所以上のファンドレイジングセミナーに講師として登壇した実績を持つ、ファンドレイジング・ラボ代表・徳永洋子氏の著書、『非営利団体の資金調達ハンドブック』(時事通信出版局)の中から一部を抜粋し、非営利団体として事業収入・収益を上げるノウハウを解説していきます。

環境団体が販売する「エコバッグ」をイメージ

<ポイント>

●非営利団体ならではの強みを生かした収益の上げ方として、「共感」による購入があり、そのために商品やサービスにメッセージを盛り込む必要がある

●参加型で事業を展開することで、販路の拡大、人件費の削減、商品開発が図れる

 

収益を上げていく際に、企業と同じことをして競合していくのではなく、非営利団体ならではの強みを生かした収益の上げ方を2つのキーワードで見ていきます。それは「共感」と「参加」です。

 

1.共感

 

1)共感による購入

 

例えば、環境団体が販売しているエコバッグをイメージしてください。

 

買い物にエコバッグを持参するのが一般化してきた中で、さまざまなエコバッグが売られています。ちょっとしたブランドものなら、買い物袋以上のオシャレな装いとして、通勤などにも使われています。価格も、大手のスーパーのレジの近くなどで、とても丈夫そうでデザインも素敵なエコバックが安価で売られていたりします。

 

では、誰が、環境団体のエコバッグを買うのでしょうか。それは団体の活動に共感している人たちです。寄付者や会員が、団体のイベントの際や、団体のウェブサイトから買うのです。いわば、共感による購入です。

 

団体の支援者にとっては、エコバッグのデザインや値段も大事ですが、それ以上に「応援している団体のグッズ」という点が大事なのです。時には、そのロゴや描かれているメッセージを他者に見せることで、「自分はこういう社会貢献意識を持っている」ということをアピールしたいと感じているのかもしれません。さらに、そのことを伝えたくなると、知り合いなどに、「これ、かわいいでしょ。ほら、あそこの海岸のウミガメ保護団体のバッグなの」と見せたり、場合によっては、誰かにプレゼントしたりします。雑貨屋などで買ったものよりも値打ちがあると考えるのが支援者です。そこで、商品には、共感を得るためのメッセージを込めることが必要となります。

社会へのメッセージを軸に共感の輪を広げる

2)メッセージを盛り込む

 

共感による購入は、商品であれサービスであれ、最初の購入者となる可能性が高い既存の支援者、彼らが共感している団体のミッションが、商品やサービスに反映されていることが必要です。「売り上げが活動資金になるから買いましょう」なら、事務所の不用品バザーでいいかもしれませんが、ここで共感購入する人たちには、「団体から社会へのメッセージ」という付加価値が必要となります。

 

先のエコバッグなら、環境保護をイメージさせるデザインや団体ロゴがプリントされていたり、簡単な団体紹介のカード「このバッグは、××に取り組む××の会がつくったものです。環境に優しい社会の実現にご協力ください」というようなメッセージが、バッグに添えられていると効果的でしょう。同時に、「自分が共感しているものを誰かに伝える」ためのツールとなる可能性があるので、そのメッセージは分かりやすく、かつ親しみの持てるものがよいでしょう。エコバッグを例にすれば、環境破壊に対する強い抗議文が添えられていたら、それを気軽なプレゼントにするのはためらわれるかもしれません。あるいは、バッグのデザインに、「No !」、「STOP !」などと大きく書かれていたら、支援者さえも毎日の買い物に使おうとは思えません。

 

コミュニティレストランとファミレスが同地域にあって、メニューの豊富さや価格ではファミレスが優位だとしても、そのコミュニティレストランの運営団体の「優しさでつながる地域づくり」や「みんなの居場所づくり」といったミッションに共感している人たちなら、そこに食事に行くでしょう。そして、地域の食材を使った家庭的な料理、地域の人たちが働いている、お年寄りが1人で行っても誰かが声を掛ける、といった状況を目にしたら、さらに共感して、次は家族や友人を連れてこようと考えるわけです。社会へのメッセージを軸に、共感の輪が広がることで、非営利団体らしい販促が実現します。

 

この話は次回に続きます。

ファンドレイジング・ラボ 代表

日本ファンドレイジング協会理事
佐賀未来創造基金 理事

東京都出身。大学卒業後、三菱商事に勤務。1998年から日本フィランソロピー協会で視覚障害者向け録音図書のネット配信事業「声の花束」を担当。2000年よりシーズ・市民活動を支える制度をつくる会で、おもに非営利団体のファンドレイジング力(資金調達力)向上事業に従事。そのプロジェクトの一環として、日本ファンドレイジング協会設立を担当し、2009年2月、同協会設立と同時に同協会事務局次長となり、2012年6月より2014年12月末まで同協会事務局長をつとめた。現在、同協会理事。
2015年2月に「ファンドレイジング・ラボ」(http://fundraising-lab.jp/)を立ち上げ、「3分間ファンドレイジング講座」をウェブサイトで連載。非営利団体のファンドレイジング力向上と寄付文化の醸成を目指して、講演、コンサルティング、執筆などを行っている。これまで全国200カ所以上のファンドレイジングセミナーに講師として登壇。受講者は1万人を超えている。

著者紹介

連載非営利団体のための「事業収入」を高めるノウハウ

 

非営利団体の 資金調達ハンドブック

非営利団体の 資金調達ハンドブック

徳永 洋子

時事通信出版局

全国に10万超あるNPOの悩みの種。「資金獲得のノウハウ」を初めて集大成。全国10万超のNPOの最大の悩み「資金をどう獲得するか?」。その答えを初めて、具体的に書きました。 寄付の依頼には手法があります。イベントに集客す…

 

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