GDPの約2~3倍と推測される中国の債務総額
中国の各経済主体がどの程度の債務を抱えているのか、中国内では統一した公式統計はなく、実態は判然としない。
2013-14年にかけ、いくつかの西側シンクタンクが、財政部や審計署(日本の会計検査院にあたる)等の数値を基に推計を行っている。金融機関を含めるのか、また非金融部門の影の銀行からの資金調達をどの程度把握し組み入れているかの違いによって推計結果が異なっているが、13-14年時点での債務総額は概ねGDPの2倍から3倍、金融部門を除くとGDPの2倍強に収斂している。
(注)ジェノバ報告はスイス所在International Center for Monetary & Banking Studiesによるもの。
(参考文献)‘Debt and (not much) Deleveraging’ Mckinsey Global Institute, Feb. 2015
政府、企業、家計の債務の半分は不動産関連
2015年2月に発表されたマッキンゼーグローバル研究所(MGI)推計に依ると、14年第2四半期時点の総債務はグローバル金融危機直前の07年7.4兆ドル(対GDP比158%)から28.2兆ドル(対GDP比282%)と、約4倍に膨れ上がっている。対GDP比で米国(269%)、豪(274%)、独(258%)、カナダ(247%)を上回る。
また主体別に見ると、中国の場合、非金融企業部門が抱える債務が全体282%のうちの125%(総債務の44%、金融を除いたベースでは58%)と、諸外国に比べ際立って高い。
その上で同報告は、中国の抱える固有のリスクとして、①2007年以降に発生した政府、企業、家計の債務の約半分(9兆ドル)は不動産に関連するものであること(家計の不動産抵当ローン、不動産関連産業への融資、地方融資平台の債務など)、②2007以降の新規融資の約30%(6.5兆ドル)は影の銀行からの融資で、その多くも不動産関連であること、③地方融資平台の抱える債務が蓄積していることの3点を挙げている。