中長期的な観点で注視したい3つのリスクとは?
前回までに見た状況からすると、中国経済のレバレッジは高いものの、それが大胆な金融緩和に動けない決定的な制約とは言えず、中国当局もそう判断するからこそ、大胆な金融緩和に動いていると見ることができよう。
ただ、中期的には幾つかのリスク、またそれに対する予防策を考えておく必要がある。連載第3回で見たMGI(マッキンゼーグローバル研究所)レポートで挙げられている3つのリスクも、これまで各方面で繰り返し指摘されており、引き続き懸念材料であることは間違いない。
ここでは、影の銀行、不動産との関連も含め、特に、企業、政府部門について、【ネット金融の急拡大】【対外債務】【政府部門資産の流動性】の3つの点に焦点を当てたい。
ネット小規模融資とP2Pで増える中小・個人企業の債務
【ネット金融の急拡大】
影の銀行の一角を構成するネット金融の規模は、2014年10兆元を超えたと言われるが、その大半はネット金融業者を介しての支払決済(第三方支付)である。
経済主体の債務との関連では、企業、特に商業銀行から通常の融資を受けにくいベンチャー、中小・個人企業が、ネット小規模融資(網路小貸)とP2P(人人貸、Person to Person)を通じて債務を積み上げていると推測される。
特にP2Pネット平台業者は14年末1500社を超え、15年6月末2814まで増加、貸付残高は2087億元と1年間で4.38倍に達するなど急拡大、15年末には3500億元を突破すると見られている(7月27日付網貸之家網貸数据)。
次回は、引き続き【ネット金融の急拡大】をテーマに、企業部門の高レバレッジ、金融政策との関連で留意する点について見ていきたい。