大胆な金融緩和に動いている中国が抱える、「ネット金融の拡大」「対外債務」「政府部門資産の流動性」という3つのリスク。今回は、「ネット金融の拡大」について見ていきます。

中長期的な観点で注視したい3つのリスクとは?

前回までに見た状況からすると、中国経済のレバレッジは高いものの、それが大胆な金融緩和に動けない決定的な制約とは言えず、中国当局もそう判断するからこそ、大胆な金融緩和に動いていると見ることができよう。

 

 

ただ、中期的には幾つかのリスク、またそれに対する予防策を考えておく必要がある。連載第3回で見たMGI(マッキンゼーグローバル研究所)レポートで挙げられている3つのリスクも、これまで各方面で繰り返し指摘されており、引き続き懸念材料であることは間違いない。

 

ここでは、影の銀行、不動産との関連も含め、特に、企業、政府部門について、【ネット金融の急拡大】【対外債務】【政府部門資産の流動性】の3つの点に焦点を当てたい。

ネット小規模融資とP2Pで増える中小・個人企業の債務

【ネット金融の急拡大】
影の銀行の一角を構成するネット金融の規模は、2014年10兆元を超えたと言われるが、その大半はネット金融業者を介しての支払決済(第三方支付)である。

(注)市場規模はどの時点のものか、必ずしも明らかでない。また、P2Pも網路小貸と認識されることが多いが、本表では、P2Pは個人対個人の貸し借りで、ネット管理者は仲介のみ、網路小貸はネット管理者がその関係金融会社を通じて融資を行う場合と区分しているものと思われる。
(資料)2015年2月9日付中国新聞網
(注)市場規模はどの時点のものか、必ずしも明らかでない。また、P2Pも網路小貸と認識されることが多いが、本表では、P2Pは個人対個人の貸し借りで、ネット管理者は仲介のみ、網路小貸はネット管理者がその関係金融会社を通じて融資を行う場合と区分しているものと思われる。
(資料)2015年2月9日付中国新聞網

経済主体の債務との関連では、企業、特に商業銀行から通常の融資を受けにくいベンチャー、中小・個人企業が、ネット小規模融資(網路小貸)とP2P(人人貸、Person to Person)を通じて債務を積み上げていると推測される。

 

特にP2Pネット平台業者は14年末1500社を超え、15年6月末2814まで増加、貸付残高は2087億元と1年間で4.38倍に達するなど急拡大、15年末には3500億元を突破すると見られている(7月27日付網貸之家網貸数据)。

 

次回は、引き続き【ネット金融の急拡大】をテーマに、企業部門の高レバレッジ、金融政策との関連で留意する点について見ていきたい。

 

 

本稿は、個人的な見解を述べたもので、NWBとしての公式見解ではない点、ご留意ください。

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