FXも利益の出し方は「外貨預金」と同じだが…
「じゃあ、さっき説明した外貨預金との関連で、FXを見てみましょうか」
「雑誌とか読んで多少知ってますけど、人生が変わっちゃうくらいハイリスク・ハイリターンなんですよね」
「たしかにハイリスク・ハイリターンだね。為替変動による差益を狙うところは外貨預金と同じなんだけど、大きく違うのは『レバレッジ』が使えることなんだ」
「『レバレッジ』って何ですか?」
「レバレッジというのは、日本語の『てこ』のこと。てこを使えば、小さな力で大きなものを持ち上げることができるでしょう。それになぞらえて、少ない資金で、その何倍もの取引ができるってことです」
「少ない資金で、大儲けできるってことですか?」
「怪しい話になると、君はすぐそうやって目を輝かせるね」
「ちょっと興味が出てきました」
「たとえば、レバレッジ10倍をかければ、100万円で、1000万円の外貨を運用できます。当然、少ない資金で大きなリターンが期待できるわけだ」
「大きなリターン、すごくいいですね!」
「でも、逆に考えたらどう?」
「悲惨ですね」
「そう。100万円で1000万円分の投資に対する損失が発生してしまいます。さらに、外貨預金のところでも言ったように、為替相場の動きを読むのは至難の業。手を出さないほうがいいと思うけど、Mさん、やってみる?」
「・・・やめときます」
現金等を担保に、元手の約3倍の取引が可能な信用取引
「それが賢明だよ。あと、手持ちの資金以上に、大きな取引ができるという点では、『信用取引』も同じような仕組みです」
「『信用取引』って何ですか?」
「『信用取引』っていうのは、証券会社に現金などを担保として差し入れて、これを元手に3倍程度の資金を借りて取引する方法だよ(図表)
[図表]信用取引の仕組み
「やっぱりハイリスク・ハイリターンなんですよね?」
「もちろん、株価が予想通りに動けば大きな利益が得られるけど、逆の場合は、大きな損失が出る。証券会社から追証、つまり担保の積み増しを求められることもある。実際、損害の穴埋めに、退職金どころか、自宅などの財産を、まるまる失った人もいる。なかには自分の命まで・・・」
「怖い怖い。本にできなくなりますって……」