リスク商品に投資する際は、資金を一度に投入しない
「ちなみに運用を考えるときには、『時間の分散』も注意すべきだ」
「・・・『時間の分散』って何ですか?」
「要は、株や投資信託、変額保険など、リスクがある商品に投資するときは、一度にすべての資金を投入しないということだね」
「なんで、一度にすべての資金を投入したらダメなんですか?」
「株式をもとに、具体的に説明しようか。たとえば、投資の成果は、『株の株数×価格(株価)』で表されます。株価は常に変動するけど、株数をいっぱい買えば、それだけ株価の影響を受けなくなるわけ」
「??・・・どういうことでしょうか?」
コツコツ買うことで「買付価格」が平準化する理由
「たとえば、私とMさんが20万円を持っていて、Mさんは一括投資、私は毎月2万円ずつ10回にわたって、コツコツ投資をする。すると、私は株価が下がったときに口数が多く買えるわけだから、自然と買付価格が平準化されてくるんだ」
「へー」
「Mさんは株価が1万円のときに20株買ったとする。そして、8000円に値下がりしたときに売却すると、時価は16万円になりますよね」
「4万円の損は痛いですね・・・」
「でも、私は、株価が下がったときに、株数をたくさん買っているから、結果的に30株買うことができて、売却したら投資の成果は24万円になる(図表)」
[図表]時間分散でどれだけの差が生じるか
「そう考えると、たしかに分散投資のほうがお得ですね。心理的に株価が下がってもショックは少ないですし」
「下がっていれば、コツコツ買い続けて、株価が上がるのを待っていればいいわけだからね」
「運用の方法としてもシンプルですね」
「リーマンショックのような、一時的な損失発生のリスクも回避できるし、複数回に分けて長期的に購入した人は、結果的に、1年あたりの価格変動のぶれを小さくできる。つまり、リスクを分散できたということになるんです」