今回は、投資家の円滑な株式売買を実現する「株式市場」の仕組みを見ていきます。※本連載は、公的年金・企業年金運用会社の元社長で、現在はI‐Oウェルス・アドバイザーズ株式会社代表取締役社長・岡本和久氏の著書『公的・企業年金運用会社の元社長が教える波乱相場を〈黄金のシナリオ〉に変える資産運用法 かんたんすぎてすみません。』(きんざい)の中から一部を抜粋し、株式会社と株式市場の仕組みをわかりやすく解説します。

売買が活発になることで、公正な価格での取引が可能に

(1) 株式市場とは何?

 

株式市場という言葉を聞くとどんなイメージが浮かぶだろうか。株価が記された株価ボードを見つめる人がテレビのニュースで映っている姿や、証券会社の店頭で椅子に座って株価ボードを眺めている人の姿、あるいは、東京証券取引所のビルや内部の様子を思い出す人も多いだろう。

 

株式市場とは、投資家が株式の売買を円滑にできるように設立された場である。多くの人がそれぞれの判断で株式を売ったり買ったりすることで、株式の市場における価値のコンセンサスが形成される。その結果、売買が活発に行われることで公正な価格での取引が可能となる。

 

さて、株式市場には新規の株式を発行する発行市場と、すでに発行された株式の売買を行う流通市場がある。発行市場は企業が新しく株式を発行してそれを投資家に買ってもらうことで、長期安定資金を調達する場だ。そして流通市場は、すでに発行された株式が売買される市場である。両者は車の両輪のようにともに重要である。ただし、ここでは資産運用をする際、より大きな意味をもつ流通市場について解説しよう。

 

すでに保有している株式を売却したい人もいれば、保有していない株式を買いたい人もいる。それらの人々が個別に売買に応じてくれる相手を探すのは容易なことではない。そこで証券会社に「売りたい」あるいは「買いたい」という注文を出す。日本中に幅広く店舗をもつ証券会社はそれらの注文を取引所に集中する。そうすることによって売り手と買い手が双方の希望を満たすことができる。一口にいえばそれが取引所の仕組みだ。

全世界の株式市場における日本のシェアは約10%

(2)どのような株式市場があるのか

 

株式の流通市場は、証券取引所に存在し、すでに発行された株式を売買する。日本には、各地に証券取引所が存在するが、圧倒的に大きいのは東京証券取引所(東証)である。取引所で株式が売買されるようになることを上場(じょうじょう)という。東証には大きな企業が上場を許される第1部市場、中堅企業のための第2部市場、新興企業のためのマザーズ市場やジャスダック市場などがある。その中で圧倒的に大きいのが東証第1部市場だ。なお、東京証券取引所グループと第2位の規模を誇る大阪証券取引所は、2013年1月1日に合併し、日本取引所グループができた。

 

株式市場の規模をみるとき時価総額という指標が用いられる。時価総額とは、市場で取引されている株式の総数をそれぞれの株価で掛け合わせ合計したものである。つまり、すべての株式を現在の株価で買ったらいくらになるか、という指数だ。

 

世界の株式市場を時価総額でみると、ニューヨーク証券取引所(2,173兆円)、ナスダック市場(846兆円)、東京証券取引所(561兆円)、ロンドン証券取引所(401兆円)、ユーロネクスト(403兆円)、香港証券取引所(371兆円)などが大きな市場としてあげられる(データ:野村資本市場クォータリー2015年夏号より、2015年8月時点のデータ)。

 

2015年11月時点における全世界の株式市場の時価総額は、36.8兆ドル(為替レート1 ドル=123円で換算して4,526兆円)である。そのうち、先進国のシェアが約92%、新興国が約8%である。先進国のなかではアメリカが圧倒的で世界シェア55%、2位が日本の9%、イギリスが7%と続く(「わたしのインデックス(http://myindex.jp/)」より)。

 

同じデータによれば過去20年間の株価指数の動きは、日本以外の先進国株式(円ベース)が約443%の上昇をしたのに対し、日本株式の上昇率は41%にとどまっている。90年代に入りバブル崩壊後の日本株のパフォーマンスはさえなかったが、世界株式は極めて強い動きをしていたのだ。世界シェア10%以下の日本市場のみをみて「株式はダメだ」ということが、いかにもったいないことか、これからもわかるであろう。

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    岡本 和久

    きんざい

    著者は、機関投資家のトップとして、13年間、公的・企業年金の運用に携わってきた。 本書では、機関投資家として培ったノウハウを開示し、誰でも簡単にできる資産運用法を教示する。 運用を知り尽くした著者は、「早く、たく…

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