電力事業は「発電事業・送電事業・小売事業」の3段階
2.電力会社の株価の見方
電力会社の中核事業は、発電所で発電した電気を需要家に販売することです。主な電力会社は、東京電力ホールディングス(9501)、中部電力(9502)、関西電力(9503)です。他に、発電事業だけ行う会社や電力小売事業だけ行う会社もあります。
(1)電力会社の事業概要
電力の発電から小売までの流れを見てみましょう。図表1は、電気の流れを発電所から送配電、電力小売までを示しています。電力事業は、『発電事業』、『送電事業』、『小売事業』の3段階に分かれます。大手電力会社のように三つの事業を全て行っている会社もあれば、発電事業もしくは小売事業を行っている会社もあります。
[図表1]電気の流れ
<発電事業>
発電事業は、火力発電所や原子力発電所、水力発電所などの発電所を運営しています。例えば、天然ガスの火力発電所でみると、海外からLNG(液化天然ガス)を輸入して、天然ガスを燃料にして、火力発電機で発電をしています。発電した電力は、送配電設備を通じて、電力小売事業者に販売します。
<送配電事業>
送配電事業は、送電線や配電線を保有し、電力の流通事業を行っています。発電会社や電力小売会社が送配電設備を使用する場合には、送配電会社に送配電設備の使用料(託送料)を支払います。送配電事業は、日本政府による規制が残っています。
<電力小売事業>
電力小売事業は、発電所や電力卸売市場などから電力を調達して、家庭や工場などの電力需要家に電力を小売しています。
大手電力会社の販売電力シェアは?
<電力会社の販売電力シェア>
図表2は、電力小売全面自由化前の2015 年度の大手電力各社の販売電力量シェアを示しています。2015 年度の電力10 社の販売電力量の全国合計は7,971 億kWh(キロ ワット時)でした。販売シェアが高い会社は、東京電力ホールディングスが31%、関西電力が16%、中部電力が15%です。
[図表2]大手電力会社の販売電力量シェア