石油会社の主な事業は、石油製品の精製・販売
5.石油会社の株価の見方
石油会社の中核事業は、原油を輸入して、製油所で生産した石油製品を販売することです。主な会社は、出光興産(5019)、JXホールディングス(5020)、コスモエネルギーホールディングス(5021)です。
(1)石油会社の事業概要
石油会社の主な事業は、石油製品の精製・販売事業です。図表1は、原油輸入から、石油製品販売までの流れを示しています。石油会社は、製油所で原油から石油製品を生産します。そして、石油会社は、石油製品をサービスステーション(SS)に卸売したり、消費者に小売します。石油業界では、石油製品の卸売のことを、元売と呼ぶことが多いです。
製油所の中心となる設備は、常圧蒸留装置(トッパー)です。原油は、常圧蒸留装置で加熱され、沸点の違いを利用して、ガソリンや軽油などの石油製品に分離しています。また、接触分解装置(FCC)などの分解設備で、重油を分解して、ガソリンや軽油などの採算性のある石油製品を生産することもあります。
サービスステーションとは、ガソリンスタンドのことです。経済産業省によると、2015年度末のサービスステーション数は32,333ヵ所です。日本エネルギー経済研究所の石油情報センターによると、2015年度末のセルフSS数は、9,728ヵ所です。サービスステーションのうちセルフSSが占める割合は、約30%と計算されます。
サービスステーションの運営主体は、特約店(石油会社と販売契約を締結する石油販売業者)などさまざまです。JXホールディングス(5020)の場合、JXエネルギーが直接運営している社有サービスステーション数は2,375ヵ所(2015 年度末)です。JXグループのサービスステーション数10,548ヵ所(同)に対して、社有比率は23%です。
全国のサービスステーション数は減少しています。10年前の2005年度末のサービスステーション数は47,584ヵ所でしたので、2015年度末よりも15,251ヵ所減少(2005年度末比32%減少)しました。サービスステーション数が減少している主な要因は、石油製品の販売量の減少や後継者問題などがあります。地域によっては、サービスステーション数が不足する事態もみられています。
[図表1]石油製品のサプライチェーン
ガソリン・軽油・灯油が石油元売会社の重要な製品
<石油会社の石油製品の販売シェア>
2015年度の石油製品(燃料油)の国内向け販売量の合計は、約1.8億KL(キロ ㍑)です。図表2は、石油製品の製品別の内訳を示しています。石油元売会社の利益の観点から重要な石油製品は、ガソリン、軽油、灯油です。これらの石油製品の構成比は、ガソリン29%、軽油19%、灯油9%です。なお、石油化学向けの原料であるナフサの構成比は26%です。
[図表2]石油製品の製品別内訳
図表3は、石油会社の2015 年度の石油製品シェアを示しています。主な石油元売会社の販売シェアは、JXエネルギー33%、東燃ゼネラル石油16%、出光興産15%、昭和シェル石油15%、コスモ石油14%です。
[図表3]石油製品の販売シェア