人口ボーナス期が世界最長クラスで続く国
フィリピンの人口は1億10万人という規模を誇ります。国連の中位推計によると、2028年にはフィリピンの人口は1億2300万人と日本を抜き、91年まで増え続ける見通しと発表されており、人口減少が続く日本とは逆に、人口は勢いよく増大中です。世界的に見ても人口規模で12位となっており、東南アジアでは、インドネシアに次いで第2位に位置するほど、巨大な内需を誇っています。
また、世界でもっとも長く人口ボーナス期(総人口に占める生産年齢人口比率が上人口1億人突破昇する期間)が続く国とも言われ、2015年のジェトロの発表によれば、2062年まで人口ボーナス期が継続すると試算されています。
この1億人の人口が支える内需、そして旺盛な消費力、さらに超長期に渡って継続すると見られる人口ボーナス期が、フィリピンの経済成長を期待させる要素のひとつとなっています。
[図表1]日本とフィリピンの人口ピラミッド
[図表2]主要国・地域の人口ボーナス期
平均年齢23歳の「豊富な労働生産人口」が活力源
日本は1億2千万人の人口を誇りますが、平均年齢はフィリピンの倍の46歳と、世界でもっとも平均年齢の高い国となってしまいました(国立社会保障・人口問題研究所による推計2015年)。また、高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)も世界最高で26.7%となっています(総務省平成27年国勢調査より)。
一方、フィリピンの平均年齢は23歳と驚くほど若く、豊富な労働生産人口を抱えるうえに、0~14歳未満の労働力予備軍が全人口の33.7%。さらには0~9歳児の割合が、全人口でもっとも多い割合を示す理想的な人口ピラミッドを形成しています。日本の人口構成がもっとも良かったのは、団塊世代と団塊ジュニアがともに社会人になった1980年代で、この時期は生産年齢人口の急拡大により、ご存知の通りのものすごい経済成長を見せました。
しかし、現在の日本は少子高齢化に喘ぎ、労働人口減少は大きな社会問題となっています。先進国になれば必ず経験する高齢化の波ですが、今のフィリピンは、昔の日本を思い出させてくれるような活力とエネルギーに満ち溢れています。
[図表3]