リーマンショック時にも経済成長率はプラス推移
フィリピンの2000~2016年第3四半期までの平均経済成長率は、5.22%という高い数字を記録しています。この間には、リーマンショックやギリシャショック、チャイナショックなどの金融危機も含まれており、特筆すべきは、2009年のリーマンショック時にも1.15%とプラス推移している点です。
■フィリピンの経済成長率
2000年以降、一度もマイナス成長なく推移していることからも成長の勢いを感じます。また、アジア圏では成長著しいインドと成長率で1位、2位を競い合うレベルを維持し、2015年は人口1億人以上の国としては、インド(7.6%)、中国(6.90%)に次ぎ、フィリピン(5.91%)は世界3位の経済成長率を記録しています。
■最近のASEAN主要5ヵ国の経済成長率
■2015年 経済成長率ランキング(人口1億人以上の国)
中国の経済成長率は公表されている数字の信頼度自体を疑問視する声も大きく、実質経済成長率はそれを下回るとする説も有力なため、人口1億人以上の国のなかでは、実質的に2位と評価されてもおかしくない高水準を維持しています。
また、2016年は第1四半期、第2四半期ともに経済成長率7.0%、第3四半期が7.1%と好調を持続しており、アジアを牽引するような存在感を示しています。
「1人当たりGDP3000ドル」の指標は突破目前
一般に1人当たりGDPが3000ドルを超えると、家電製品や家具といった耐久消費財の売れ行きが加速するとされています。また、紙おむつなどのように、便利さや快適さを重視した日用品が売れ始めるなど、内需拡大を示す重要な指標のひとつとなっています。
日本の1人当たりGDPは高度経済成長期の1975年頃に3000ドルを突破し、この頃、新・三種の神器と言われたカラーテレビ、クーラー、自動車を買い求める消費者が増え、世の中はストックに向かう時代でした。
■東南アジア諸国の1人当たりGDP(2013年)
フィリピンの貧困層では、まだクーラーや冷蔵庫のない家庭も多く(電気代が非常に高いことも一因している)、マイカーは中間層以上のレベルでないと所有者の数は極めて少なくなります。
この一人当たりGDP3000ドルが突破目前となったことで、フィリピンのこれからの内需拡大には、さらなる期待がかかっています。
■アジア諸国の1人あたりGDP推移(USD為替レート、12年実績)
〜主なアジア各国の1人当たりGDPポジションと日本との対比〜