今回は、フィリピン株式市場の成長余力などを見ていきます。※本連載は、セブンシーズプロパティーズコープのCEOである西村幸洋氏の著書『1日5分、10万円からはじめるフィリピン株式投資』(パブラボ刊行)の中から一部を抜粋し、東南アジアで注目される国「フィリピン」での株式投資のノウハウを紹介します。

フィリピン株式市場には「空売り」なし

前回の続きです。

 

フィリピン株式投資には、「空売り」は用意されておらず、利益を作るには、株価が上昇しなければなりません。

 

そのため投資家の心理は、「上がれ」で一致しており、「上がれ」と「下がれ」が混在する日本株式投資とは大きな違いを生み出しています。

 

投資の技術が高くなると、上昇でも下落でも利益を生み出せる仕組みがあることはポジティブな材料となり得ますが、初心者や株式投資に時間の割けない投資家は「上昇のみ」で利益を生み出せるフィリピン株式投資の仕組みのほうが扱いやすく、リスクも管理しやすいと言えます。

 

[図表1]空売り

日本との比較から考えるフィリピンの内需拡大期は?

大きな成長を遂げているフィリピン市場ですが、これからの成長余地はどう見るべきでしょうか。下記の図表2は日経平均株価の推移と日本の一人当たりGDPの推移を表した図です。

 

[図表2]日本の一人当たりGDPの推移とアジア諸国・地域の一人当たりGDP

経済成長の裏打ちがなければ、持続的な株価の上昇は期待しづらい。その点、アジア諸国のGDP成長は目覚ましい勢いで急伸中。1人当りGDPno水準から見ても、さらに成長に加速がつくことが大いに期待される。
出典:各種資料より作成
経済成長の裏打ちがなければ、持続的な株価の上昇は期待しづらい。その点、アジア諸国のGDP成長は目覚ましい勢いで急伸中。1人当りGDPno水準から見ても、さらに成長に加速がつくことが大いに期待される。
出典:各種資料より作成

 

日経平均株価が大きく成長したのは、1970年以降の高度経済成長期からで、もっとも勢いよく株価上昇を見せていたのは、1980~89年までであることがわかります。1980年、日経平均株価は7116円30銭でした。これが1989年に史上最高値の38915円87銭を記録し、空前のバブル景気を演出しました。

 

フィリピンが日本ほどの経済成長を見せるかと言えば、それは非常に低い可能性だと思いますが、一人当たりGDPは未だ3000ドルという水準ですから、いよいよ本格的な内需拡大期を迎えたと言って良い状況です。

 

まだまだ一般のフィリピン人は株式投資を行うほどの豊かさには到達していませんが日本の歴史と同じように経済成長が進み、一人当たりGDP10000ドル付近から、フィリピン人の株式投資を行う人口が増えていくのではないかと予想しています。

 

本当の株価上昇が見られるのはまだ先。現時点でこれだけの数字を作り出すフィリピン市場の未来は非常に明るいと感じています。

 

[図表3]各国の株式投資人口の割合

出典:フィリピン証券取引所(PSE)
出典:フィリピン証券取引所(PSE)

本連載は、2017年4月2日刊行の書籍『1日5分、10万円からはじめるフィリピン株式投資』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

1日5分、10万円から始める フィリピン株式投資

1日5分、10万円から始める フィリピン株式投資

西村 幸洋

パブラボ

国内初となる「フィリピンの株式投資」の指南書。フィリピンは、世界でもっとも長く人口ボーナス期が続く国と言われ、昔の日本を思い出させてくれる活力とエネルギーに満ち溢れています。これからのフィリピンは、日本の人口構…

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