前回に引き続き、「白内障の手術後のトラブル」に関するQ&Aを見ていきましょう。今回は、白内障手術の術後に感じる違和感や不便さ、また、糖尿病患者が白内障の手術を行う際に起こりうるトラブルについて説明します。
多くの眼内レンズには「調節機能」がない
Q:白内障の手術後、左右で大きさが違って見えたり、手元の作業に不便さを感じています。
A:白内障の手術後は眼内レンズが目の中に入りますが、その眼内レンズには調節機能はない(調節眼内レンズ、多焦点眼内レンズでない限り)ので、眼鏡で調節が必要になります。
糖尿病で網膜に病変がある場合、浮腫ができやすい
Q:糖尿病患者です。白内障手術直後から目に違和感があり、ないはずの影が見えたり、ゆがんだりします。「網膜の腫れが原因」と言われました。
A:白内障手術後に網膜(黄斑)に浮腫が起こることがあります。最近は低侵襲(ていしんしゅう)と言い、傷口が小さく体にダメージが少ない手術になり、また、予防のための点眼薬も使用するのでほとんど起こりませんが、以前は手術後の合併症として大きな問題で、特に糖尿病があると起こりやすいと言われています。
また糖尿病で網膜に病変がある場合、血糖のコントロールがしっかりしていないと悪化することがありますので、注意してください。
日本眼科学会認定眼科専門医
指導医
1998年名古屋大学医学部卒業後、社会保険中京病院に勤務。
2000年、社会保険中京病院眼科医員。
2005年ハーバード大学 Massachusetts Eyeand Ear Infirmary 留学。2006年、イリノイ大学眼科留学。2012年慶應義塾大学医学部大学院卒業博士号取得。同年、岐阜赤十字病院眼科主任部長、名古屋アイクリニック角膜・眼表面担当医に就任。白内障、レーシック、フェイキックIOLから角膜移植術、角膜クロスリンキング、眼瞼手術など最先端の手術をマルチにこなす。2011年~2015年までの手術実績約3700眼。
慶應義塾大学医学部 眼科学教室 非常勤講師。
大連医科大学客員教授。
中華人民共和国 非常勤医師免許取得。
ICLインストラクター。
トラベクトームインストラクター。
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