1カ月に1回、資金を「定期シフト」させる
<ステップ④>資金シフトのスケジュールを決める
収入の入口は基本的に売上収入口座が担います。そして、売上収入口座からその他の口座に資金を振り替えるのですが、このタイミングをいつにするのか、という疑問が生じるかと思います。
資金シフトのタイミングについては、随時シフト(運転資金口座に残高がなくなったら、そのたびごとに資金シフトする)と、定期シフト(1週間、1カ月、1年という単位で資金シフトする)が考えられます。
私がクライアントに指導する際は、随時でなく定期(基本的には1カ月に1回)で資金シフトするようにアドバイスします。定期的にお金を移すので「定期シフト」と呼びます。これに対して、お金があるときにお金を随時移動させることを「随時シフト」と呼びます。私はこの随時シフトはお勧めしません。
なぜなら随時シフトでは、運転資金口座の残高が少なくなってきたからという理由により、その都度資金シフトすることになりかねず、いわば漫然とお金を動かしているのと同じになってしまうからです。これは、資金繰りをコントロールするという見地からは回避しなくてはなりません。
以上から、資金シフトのタイミングを定期シフトにし、お金の動きを自らの手でコントロールするようにするのです。
支払いが集中する5日前までに、運転資金口座に入金
資金シフトを定期シフトにするためには、売上収入口座から他の3つの口座に振り替える日程を決めなくてはなりません。
この3つの口座の中で一番はじめに資金シフトする口座は、運転資金口座です。そのためには、取引先への支払日を十分に考慮して決定しなくてはなりません。
売上収入口座から運転資金口座に振り替える前に支払い期日が到来しては、不払いという事態を招きかねないからです。基本的に運転資金口座への資金シフトは、支払い日が集中する5日前までに終えておくべきです。
これに対し、納税緊急口座および、将来投資口座への資金シフトは運転資金口座からの支払いがすべて完了したあとの日程で決定してください。
たとえば、「運転資金口座への振替は20日、納税緊急口座と、将来投資口座への振替は月末」というように、会社の状況に応じたスケジュールを決めるのです。
日本企業の支払日のほとんどは「5・10日(=ゴトウビ)」に集中します。つまり5日、10日、15日、20日、25日、そして月末です。したがって、これらの「5・10日」を考慮したうえで、資金シフトの日程設定をしましょう。ただし、一度決定した資金シフトの日程は、資金繰りの定期的な観測のためにもできるだけ変更しないようにする必要があります。
[図表]資金シフトの日程(例)