「して欲しい応援」「して欲しくない応援」がある
「あなたが応援して欲しい人は誰ですか?」
私はよく、セミナーや講習会に参加してくれた子どもたちに、こんなしつもんをします。「お父さん」「お母さん」「コーチ」「監督」「おじいちゃん」「おばあちゃん」「チームメイト」などなど答えはさまざまですが、子どもたちは「身近な人に応援して欲しい!」と思っていることがわかります。
そして、答えてくれた子どもたちに、続けてこんなしつもんをします。
「いま答えてくれた応援して欲しい人に、どんな応援をして欲しいですか?」
「また、どんな応援は嫌ですか?」
私たち大人は、「して欲しい応援」と「して欲しくない、嫌な応援」があることを忘れがちです。どんな応援も愛情や情熱があってのことです。親が子どもに注ぐ無償の愛、指導者、コーチが自分の時間やエネルギーを使って選手をサポートすること、先生が教え子を思う気持ち・・・。応援することはとても尊いですし、素晴らしいことだと思います。
しかし、「して欲しくない、嫌な応援」は、子どもたちのやる気や自信を奪っている可能性があるのです。
子どもの背中を押す「ドリームサポーター」になろう
子どもたちが望むように、ポジティブな言葉をかける方が良いのは明らかですが、うまくいかないときは「愛情ゆえ」ついつい厳しい言葉をかけることもあるかもしれません。
しかし、ネガティブな声がけは百害あって一利なし。それどころか、子どもたちの将来の可能性を狭めてしまう危険性もあるのです。
”ドリームキラー”という言葉を知っていますか? 「夢を殺す」とは物騒ですが、夢や目標を叶えようと、なにかに挑戦しようとするときに邪魔をする人たちのことをドリームキラーと言います。
目標に向かって何かをやろうすると聞こえてくる声。
「お前にはムリ」「どうせできないよ」「こんなこともできてないでしょ」「うちの子はダメですよー」「うちの子、全然できなくて」「なにやってんだ」「言った通りにしろ」「どうせ勝てない」「一勝できれば上出来」「やめちまえ」「バカなこと言ってないで、ちゃんとやりなさい」
こんな言葉をかけられたら、どんなにやる気に溢れた人でも「やっぱり無理なのかも・・・」と弱気になってしまいます。
もしかしたら、これを読んでくださっているあなたもドリームキラーの一言で、せっかくの夢や目標、やる気をそがれた経験があるかもしれません。
誰だって子どもたちの夢を奪うドリームキラーにはなりたくありません。
では、どんな人がドリームキラーになるのか?実は、子どもたちに期待や思い、愛情をかける親やコーチなど、身近な人ほどドリームキラーになる可能性が高いのです。
子どもたちにしてみれば、いちばん応援して欲しい人たちに、自分が「して欲しくない、嫌な応援」をされてしまうわけですから、たまったものではありません。
未来がどうなるかは、私たち大人にもわかりません。子どもたちの未来がどうなるかは、まだ誰にもわからないのです。その手助けができるのは、近くで見守る親やコーチです。親やコーチは、子どもたちが、「して欲しい応援」をしてあげることで、夢をサポートする”ドリームサポーター”になることができます。
子どもたちの「こうなりたい!」に対して、「どうしたらなれるかな?」と問いかけ、「信じてるよ!」「できるよ!」と勇気づけ、見守り、背中を押すドリームサポーターにぜひなってください。
〈あなたは大丈夫? ドリームキラー度チェック〉
□ 子どもができることより、できないことが気になる
□ 「お前には無理」「どうせできない」「それは不可能」と子どもに言ったことがある
□ 子どもにはできるだけ苦労して欲しくないと思っている
□ 「もっと現実的に考えなさい」と言ってしまった
□ 才能がないならやめさせたいと思っている□ トンビはタカを生まないと思う
□ チームメイトや他の子どもと比べてしまう
□ 結果ばかりを気にして、取り組み方を認めてあげていない
□ それは誰もやったことがないから「無理」と考えがちである
□ お前のせいで負けたと責任を押しつけたことがある
□ 子どもの可能性を応援するよりも、否定ばかりしてしまう
□ お前の代わりはいくらでもいると伝えてしまったことがある
五つ以上にチェックが入る方はふだんの考え方をちょっと見直してみてください。