好きなアーティストの曲を聴きながら勉強したいのに…
前回の例に限らず、子どもを思うあまり、子どもの気持ちを直接聞くことを忘れてしまうケースや、大人の価値観、思い込みで判断してしまうことは少なくありません。
たとえば、音楽を聴きながら勉強する子どもがいたとします。その子どもに対して、「集中できないから、どちらかにしなさい」と、注意する人はきっと”自分が”音楽を聴きながらだと集中できない人なのでしょう。
以前、友人のマンションの共有スペースで、ある女の子と会話をしたことがあります。そのスペースは、ホテルのラウンジのように広々としていて、その子は中央にあるテーブルで勉強をしていました。なぜこんなところで勉強しているんだろう? と不思議に思って理由を聞くと、彼女は「ここの方が集中できる」と言うのです。
「好きなアーティストの曲を聴きながら勉強したい。家のお部屋だとお母さんがやめなさいって言ってくる。だからプチ家出してるの」
笑いながらそう話す彼女は、好きな音楽で気分をアゲた方がはかどるのに、お母さんはまったく取り合ってくれず、そんなはずはないと、音楽を止めるように言ってくると不満げでした。
お母さんはそうじゃない。お父さんはそうじゃない。自分はそう思わない。そんな価値観で接していると、子どもたちの気持ちからどんどん離れていってしまいます。
「子どもの自由」を尊重するフィンランドの教育
そういう私も、教育先進国として知られるフィンランドの学校の教室にソファやドラムセットがあって、そこで勉強をしてもいいし、立って勉強をしてもいいということを聞いたときには驚きました。その教室をなにも知らずに見たら、”学級崩壊”にもうつりますよね。
でも大丈夫、フィンランドの先生たちは子ども一人ひとりをじっくりと観察し、対話を重ね、その子がどうやったら勉強に集中できるかをちゃんと知っているのです。
机に座っての勉強が必ずしも正解じゃない。だから、机に座りたがらないから勉強を放棄しているとか、勉強が苦手だと決めつける必要はないわけです。