子どもたちの本心を知る、聞き方の基本とは?
観察することを心がけ、子どもたちの無言のメッセージをできるだけ多く受け取れるようになっても、それだけで本心をわかったとは言えません。
無言のメッセージはあくまでも無言なので、受け取り方によって「たぶん」「きっと」や間違った解釈が出てきてしまうのです。
そこで、実際に子どもたちに「聞く」ことが大切になるのです。つまり、しつもんをしながら、子どもたちと良いコミュニケーションを取れれば、子どもたちが考えていることがよりわかるようになるのです。
聞くと一口に言っても、ただ聞くだけではやはり子どもたちは心を開いてくれません。聞き方にはコツがあるのです。子どもたちの本心を知るための聞き方の基本は、
●相づちをいれて、うなずく
●聞いているよ、という表情で聞く
●アイコンタクトをしながら話を聞く
の三つです。これは、しつもんや会話、コミュニケーションを取る際の話を聞く姿勢として常に心に留めて欲しいことです。
「君のことをもっと知りたい」という気持ちで接する
それに加えて、子どもたちのことを知るための聞き方の三つのポイントを紹介しましょう。
1 相手の話は最後まで必ず聞ききる
簡単なようで、意識をしないとできないのがこれです。子どもが話しているのにそれを遮って話しはじめてしまったことありませんか? うまく伝えられず、脱線しかけている子どもの話の結論を先に言ってしまったことはありませんか? 子どもたちのことを知りたかったら、まずは最後まで話を聞きましょう。99%ではなく、100%。子どもにすべてを話してもらうことです。
2 表情豊かに反応する
相づちを打って、聞いているよという表情で聞くことも大切ですが、内容をきちんと把握して、表情豊かに反応することはそれよりもっと大切です。誰だって「しかめっ面」で話を聞かれたら嫌ですよね。
ただ話を聞けばいいという姿勢で聞いていると、相づちも単調になりがちです。そんな反応では話をしている子どもたちのテンションはどんどん下がっていきます。こんなことが続くと、やがて子どもたちはなにも話をしてくれなくなってしまいます。子どもが話してくれない、親子の会話が減ったという人は、もしかしたら以前の「話の聞き方」に問題があったのかもしれません。
子どもの話やペースに合わせて「いいねー!」「それでそれで?」と、驚いたり、喜んだり、ときには悲しんだりして、喜怒哀楽を素直に表現することが大切です。
3 興味を持って問いかける
聞き上手になるために欠かせないのがしつもんです。ここでは、子どもたちのことを知るために話を聞くということが目的ですから、質問責めはNGです。ここでのミッションは、「選手に気持ちよく話をしてもらう」ことです。
「それで?」「どうなったの?」
相づちに近いしつもんを、子どもたちの話を遮らないように気をつけながらしてみましょう。
話を引き出すためには、子どもたちの話に興味を持つことが大切です。子どもが「プロの野球選手になりたい!」と話してくれたとしたら、「どこのチームに行きたいんだろう? 巨人? 楽天? アメリカってこともあるよね。どんな選手になりたいんだろう?」と、こんなふうに頭をフル回転させて想像力を働かせます。「プロの選手」としか言っていない子どもに、他にどんな考えがあるのかを想像することは、その子の話に興味を持つことでもあります。
不思議なことに、こちらが興味を持って問いかけると、それまでポツリポツリとしか話してくれなかった子どもたちが、身を乗り出して話してくれるようになります。
「どんなプロ選手になりたいの?」
この問いかけの前に、想像力を働かせているのといないのとでは、子どもの答えや反応、その後の会話がまったく別のものになるのです。
「君のことをもっと知りたいんだ。興味があってね」
そんな気持ちで想像して問いかけると距離がぐっと近づき、子どもはどんどん心の内を話してくれるようになります。
「この人は熱心に聞いてくれる!」と感じた子どもたちは心を開いて、自分のことをたくさん話してくれます。こうして築いた信頼関係は、その次の行動につながります。
しつもんをする、話を聞くというと、どうしても「なにを聞くか?」に思いがいきがちですが、「どう聞くか? 」の方法が間違っていれば、子どもたちは心を開いてくれません。子どもたちのことを知るための「聞き方」の3つのポイントをぜひ、実践してみてください。