設立30周年の節目を迎えたスリランカのコロンボ証券取引所(CSE)。かつての黄金期の再興を図るためには、どうすればよいのでしょうか。同証券取引所のトップであるヴァジラ・クラティラカ氏への特別インタビューの2回目は、CSEが現在抱える具体的な課題について見ていきます。

証券会社の数に比して、まだまだ少ない取引高

――過去に行ったことへの法律の遡及は可能なのでしょうか?

 

それはあまり良くはありません。我々は不正な価格操作取引が二度と起こらないようにシステムを改築する必要があります。それが一番重要です。スリランカはガバナンスが行き届いたクリーンなところであると、世界に発信しなければなりません。政治家や法律家、裁判官は株式市場がこれらの問題にどう対処しようとしているかを理解するべきです。

 

証券取引法違反のうちのいくつかは犯罪行為です。しかし、取引における犯罪を証明することはとても困難です。もし取引が一件しかなければ立証できますが、無数に取引をしているのであれば、それがインサイダー情報に基づくものだと立証することはとても難しいです。

 

世界に先駆けて証券の電子化を始めたときは、証券取引所にとっての黄金期でした。さらに証券会社の質も高かったです。これを再興させるにはどうすればよいのでしょうか。現在、国が必要としているのはおよそ5年間成長を続けることです。そうすれば全ての空気が変わるでしょう。

 

証券会社の抱える問題は、彼らが自己投資を正当化できないことにあります。29社の証券会社がある中では一日10億スリランカ・ルピーの出来高では足りません。そのうちの7社か8社はとても厳しい状況です。彼らは人を雇う余裕もありません。証券会社で働くことの威厳は急激に萎んでいます。これを変えなくてはいけません。

 

証券ブローカーがただボタンを押すだけでコミッションを得られた時代は終わりました。彼らは正しい商品を売らなくてはいけません。残念ながら教育された若い人々は証券ブローカーを良い職業と見てくれません。これを変えなくてはいけないのですが、それには投資が必要です。

証券ライセンスの価値を高める施策が必要

――もし29社の証券会社が多すぎるならば、自然淘汰が必要だということでしょうか?

 

二つのことが起こります。一つは証券ライセンスに価値が付加されます。しばらくは証券ライセンスの新規発行を差し控えるという政策決定をするべきでしょう。そうすることで証券ライセンスの価値が高まり、証券会社は自信を持って投資を行えます。

 

もうひとつは業界再編です。証券各社はそれぞれ合併を進めるべきでしょう。証券業は実際の店舗ではなく、人的資本が重要です。合併よりも人を雇用するほうがいいと考えるかもしれません。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」に掲載した記事を、翻訳・編集したものです。

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