前回は、宿泊日数要件がネックになっている「特区民泊」の問題点を紹介しました。今回は、地方の実情を無視する「イベント民泊」の杓子定規なルールについて考察します。

利便性を損なっている「旅館業」の解釈とは?

前回の続きです。

 

③イベント民泊については、前述のように⑴宿泊者の入れ替わりがある場合や⑵同一施設について年に2回以上、宿泊者を受け入れることは認められていません。

 

その理由は、「旅館業」が反復継続性を有するものと理解されていることと関わっています。イベント民泊は、年1回のイベント開催時に泊まらせるだけであれば、反復継続性がないといえるので、「旅館業」に当たらず営業許可はいらないという理屈によって許容されています。そのような観点からすると、⑴、⑵のケースは反復継続性が認められることになるので許されないとなるわけです。

 

しかし、これはあまりにも杓子定規な解釈であり、イベント民泊の利便性を大きく損なうものといわざるを得ません。

1度宿泊させた家が使えないとなると…

⑴に関しては、たとえば1週間のイベントの場合、誰かが1泊限りで宿泊を終えたら、残りの6日間は誰も泊められなくなってしまうのです。また、⑵に関しては、町おこしなどを目的に1年間に何度も花火や祭りなどのイベントを催す自治体は珍しくありません。それなのに、1回泊まらせた家は使えないとなると、2度目、3度目のイベントの際には民泊に提供できる施設がなくなってしまうかもしれません。


このように、現状のイベント民泊の運用は、それを必要としている地方の実情を無視した欠陥を含んだものであることは明らかです。

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    本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    三口 聡之介

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