前回は、地方の実情を無視する「イベント民泊」の杓子定規なルールを紹介しました。今回は、関係者から大きな期待が寄せられる「民泊新法」について見ていきます。

新規参入を阻み、ヤミ民泊を増加させる現行制度

前回の続きです。

 

これまで見てきたように、ホスト側の視点から見た場合、現状の民泊制度はどれも、「条件が厳しすぎる」「制限が多い」などの問題を抱えています。そのために、合法的に民泊を行いたいと考えている人たちの多くが「あまりにもハードルが高い」と民泊参入を断念せざるを得ない状況を生み出している一方で、遵法意識の低い人たちを「こんな厳しい条件なんて満たせるわけがない、違法でもやってやる」などと”ヤミ民泊”に向かわせる結果を招いていることは否定できないでしょう。

 

法を守って民泊を行いたいと思っている人たちのためにも、また、これ以上”ヤミ民泊”を増やさないためにも、より緩やかな条件で、より制限の少ない形で民泊を実施できる法的な仕組みをつくることが、今まさに強く求められているのです。

「民泊新法」が民泊の自由化を促進

そのような”民泊の自由化”への期待を込めて、今、多くの民泊関係者から大きな注目を集めているのが、目下、国会で制定作業が進められている「民泊新法」です。

 

「民泊新法」は、民泊に関する一般的なルールや制度について定める初めての法令になります。第2章で触れた「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」を経て2016年6月に取りまとめられた「『民泊サービス』の制度設計のあり方について(『民泊サービス』のあり方に関する検討会最終報告書)」を下敷として法案が作成され、2017年の通常国会に提出することが予定されています。

 

では、「民泊新法」の中身は具体的にどのようなものになるのでしょうか。以下では、この「『民泊サービス』のあり方に関する検討会最終報告書」をもとに、現段階で構想されているその内容について詳しく確認していきましょう。

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

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