前回は、合法的な民泊ビジネスのために留意すべき法律について取り上げました。今回は、合法的に運営可能な4つの「公認民泊」について解説します。

ホテルや旅館に比べ、規制が緩やかな簡易宿所

法律のルールを守りつつ、個人・法人が合法的な形で民泊を運営する手段としては、大きく4つの選択肢があります。


すなわち、①簡易宿所、②特区民泊、③イベント民泊、そして④農家民宿です。

 

① 簡易宿所

『民泊運営のために遵守すべき「旅館業法」とは?』で触れたように、宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設けて行う旅館業の一類型です。ホテルや旅館に比べれば規制が緩やかで、営業許可を取りやすいので民泊を運営するのに適しています。

 

② 特区民泊

国家戦略特別区域法を法的根拠として、国家戦略特区で運営されている民泊です。①簡易宿所、③イベント民泊、④農家民宿が旅館業法の枠内で認められているのに対して、同法の例外として認められているものです。

 

③ イベント民泊

阿波おどりなどの大きな祭りや国際会議など、大型イベントの期間中、宿泊施設の不足を補うことを目的として臨時的な措置として認められている民泊です。 規制改革実施計画の「小規模宿泊業のための規制緩和①イベント等を実施する際の『民泊』における規制緩和」を法的根拠としています。

 

④ 農家民宿

「農山漁村余暇法」「旅館業法」及び「農山漁村での宿泊体験活動の受入」を法的根拠とした民泊です。基本的に農業や漁業の従事者など限られた人が運営者となることを前提としています。

法律制定による、新たな「公認民泊」の可能性

いずれも「行政によって公認されている」民泊であることから、当社ではこれら4つを「公認民泊」と呼んでいます。新しく制定作業が進められている法律が成立し、施行されれば、さらにもう一つ別の「公認民泊」の選択肢が加わることになります。

 

次回からは、それぞれの詳細について解説していきますが、このうち④農家民宿はやや特殊なタイプの民泊制度であり、後述する地方創生との絡みで大きな役割を果たすと期待されているため、書籍『民泊ビジネスのリアル』第4章で改めて取り上げることにします。

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

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