安心・安全な民泊を行うためには、法に則った運営を心がけることが大切です。本連載では、オーナーが知っておくべき、民泊に関する法律や制度について解説します。

整備が進む「民泊に関する法律」

法に反した”ヤミ民泊”は近隣トラブル等を頻繁に引き起こすおそれがあるうえに、衛生上、治安上のリスクが高いなど非常に大きな問題を抱えています。こうしたトラブルやリスクを避け、安心・安全な民泊を行うためには、法を遵守した運営を心がけることが何よりもまず求められます。

 

そこで、本連載では、民泊を正しく営むために、オーナーが知っておくべき法的な知識や制度について詳しく確認していきます。民泊に関する法整備はここ1、2年の間に様々な形で進められてきました。民泊のルールについて定める新たな法律も制定される予定ですが、まずは、現行法の枠組みについて整理しておきましょう。

建築基準法、都市計画法、消防法にも留意

『大ブームの陰で「違法」な運営も横行 民泊ビジネスの課題と現状』で解説した旅館業法の他にも、民泊を合法的に行っていくうえでは様々な法律のルールを守ることが求められます。中でも重要なものは、①建築基準法、②都市計画法、③消防法になります。それぞれの法律の概要は以下の通りです。

 

① 建築基準法

敷地、構造、設備、用途について、建築物が備えるべき最低の基準を定めた法律。個々の建築物について構造上・衛生上・防火上等の安全性を確保し、かつ集団としての建築物について良好な環境を確保することを目的としています。

 

② 都市計画法

都市の健全な発展や秩序ある街づくりを計画的に行っていくための法律。この法律に基づいて用途地域が指定されます。用途地域とは、都市の環境保全や利便性の増進を図るため建物の用途に一定の制限が課された地域であり、住居系7種類、商業系2種類、工業系3種類の12種類があります。

 

③ 消防法

火災の予防・警戒・鎮圧及び火災、地震等の被害の軽減を目的とした消防活動に関するルールを定めた法律。消防用設備の基準についても規定されています。

 

民泊で食事もサービスとして提供する場合には他に食品衛生法などへの配慮も必要となりますが、宿泊施設の提供だけを考えているのであれば、差し当たっては、旅館業法とこれら3つの法律に注意を払っておけば十分でしょう。

 

[図表]都市計画法で土地利用を定めた用途地域の例

本連載は、2016年12月16日刊行の書籍『民泊ビジネスのリアル』(幻冬舎メディアコンサルティング)から抜粋したものです。その後の法令改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

民泊ビジネスのリアル

民泊ビジネスのリアル

三口 聡之介

幻冬舎メディアコンサルティング

世界中で大ブームとなっている「民泊」。日本でも約4万6000件の物件が民泊用のマッチングサイトに登録されています。民泊が広まっている背景にはシェアリング・エコノミーの流行、人口減少による遊休不動産の増加、訪日旅…

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