改革重視の姿勢を示した全人代活動報告
3月5日〜15日開催された、中国国内の会議で最大かつ最も注目される全国人民代表大会(全人代)での政府活動(工作)報告(以下、報告)で示された本年の経済運営方針、数値目標は、一見控えめに設定され、構造改革を重視する中国当局の姿勢を示したように見える。他方で、その後4月に発表された17年第1四半期経済実績によると、GDP伸びは前年比6.9%増、昨年後半からの景気上向き傾向が再確認された。
全人代会期冒頭に行われた李克強首相による報告は文章で2万字近く、内容的にも経済のみならず、社会、政治、外交と広範な分野をカバーするが、主要テーマは経済分野だ(そうであるからこそ、経済担当の首相が行っている)。その経済分野だが、例年通り、前年の経済活動の実績がレビューされた後、本年の成長率や雇用創出、インフレ率などの数値目標と、それを達成するための経済運営の基本方針が示された。
人々の関心は腐敗汚職、社会保障、医療、収入・・・
中国国内では、全人代と同時並行的に開催される政治協商会議と合わせ、「両会」、2つの会議と表されることが一般的である。同会議は共産党に加え、その他の様々な団体、各業界代表、さらには有名文化人などもメンバーにした政策諮問機関的な位置付けだ。全人代のような立法権限は持たず、実質的な意味はあまりないが、必ず「両会」として全人代とセットで言及される。政策立案や意思決定が専門家や国民各層の意見を幅広く聴取し、「民主的」に行われていることを内外に示したいという中国当局の思惑を示すものだ。
また、毎年両会に合わせ、人民網等地元メディアが一般の人々を対象に、両会の最大関心事を問うネット投票を実施している。過去16年の間、本年も含め、反腐敗汚職が最大関心事とされたのが6度、経済関係では社会保障、医療改革、雇用・収入への関心が高い。
[図表]両会に向けての人々の主要関心事