「キャッシュフロー1000万円」を達成したら・・・
ヒアリングには、「横のつながり」を築く以外にも重要な役割があります。そのことを説明するために、改めて不動産投資の「成功」について考えてみましょう。
不動産投資をスタートした人が最初にめざすべきラインは「年間キャッシュフロー1000万円」(できれば2000万円)というのが私の考えです。これだけの金額を確保すれば、それ以降を購入する際の頭金や諸経費をキャッシュフローでまかなうことができます。「キャッシュフロー1000万円」は、加速度的に投資規模を拡大させるうえで最低限のラインといえるでしょう。
この「キャッシュフロー1000万円」というのは、基本的なことさえ守っていれば達成できる数字です。では、そのラインに到達した人が次に何を考えればいいかというと、より難易度の高い物件の運営になります。たとえば再生物件など、ある程度経験がないと成功は難しいものの、うまくいけば莫大なキャッシュフローが狙える物件にチャレンジしていくのが定石といえるでしょう。これが、いわば「不動産投資のセカンドステージ」なのです。
「キャッシュフロー1000万円」を達成した時点で投資規模は3億円以上に達しているはずですから、不動産投資家としての経験は十分に積んでいます。しかしそれだけでは、セカンドステージで成功を収めるのは難しいのが実情です。物件の難易度に応じてリスクも高くなりますから、単に「不動産投資の経験がある」というだけではまだまだ心もとないのです。
結論から言うと、このときもっとも必要になるのが「ヒアリング能力」です。不動産投資におけるヒアリングは、一般的な事業で言うところのリサーチにあたります。事業が軌道に乗り始めていたとしても、ここがうまくいかないとステップアップすることは難しいのです。
ヒアリング能力は、意識しないとなかなか高めることはできません。実際、それなりに投資経験があっても、ヒアリングでつまずいている人は多いです。不動産投資においてヒアリングがいかに重要か、どうすればヒアリング能力を上げられるのか、連載を通して詳しく見ていきたいと思います。
想定通りの入居率を確保するには「ヒアリング」が不可欠
まず大切なのは、「なぜヒアリングするのか」をきちんと理解しておくことです。「キャッシュフロー1000万円」が第一の目標であることからも分かる通り、不動産投資ではキャッシュフローの確保が命題になります。だからこそ、多くの不動産投資家は物件の購入前にシミュレーションを行い、「本当にキャッシュフローが出る物件かどうか」を調べるのです。
しかし、シミュレーション上のキャッシュフローがどれだけよくても、それは「想定」に過ぎません。想定通りの入居者がいなければ、想定通りのキャッシュフローを得ることはできないのです。それでは、どんなに綿密にシミュレーションをしても意味がないということになってしまいます。
想定通りの入居率を達成するためには、購入前のヒアリングは必要不可欠です。しっかりとヒアリングを行い、その結果に基づいて対策を練れば、客付けもスムーズになります。そして、ヒアリングの精度が上がれば上がるほど、想定通り、あるいはそれ以上の結果を得られるようになるのです。
ヒアリングの重要性をしっかりと認識し、「最低でも想定通り」の運営をめざすことは、不動産投資を成功させるうえでの大前提といえるでしょう。