「説得力のある言葉」は交渉の場でも力を発揮
前回の続きです。
そして、「説得力」のある言葉は交渉の場でも力を発揮します。たとえば、売値が1億円の物件があったとします。この物件を買いたいからといって、いきなり「9000万円に下げてください」と言っても相手に与える心象は良くないでしょう。
しかし、「○○銀行の××支店では9000万円の評価でした」「また別の△△銀行では8500万円でした」など具体的な評価の話をいくつも出せれば、相手は「そういうことなら再考してみよう」という気になります。その結果、一気に売値が下がることもあるのです。ヒアリングによって高めた「説得力」が、「交渉力」としても役立つというわけです。
また、仲介業者にとって売りに出した物件を金融機関がどれぐらいの評価をするのか、というのは非常に価値のある情報なのです。こういう価値のある情報を提供できるかどうかは、継続的に投資規模を拡大するうえで重要な要素です。
「説得力」「交渉力」が身についていれば物件を買える可能性も高まり、「成功」に一歩近づきます。不動産投資は多くの人が関わるものですから、言葉の威力は想像以上に強いのです。これらのスキルを磨くには、ヒアリングの経験を積むしか方法はありません。まずは地道にヒアリングを重ね、人の心を動かす「説得力」を身につけましょう。
必要な「行動力」の具体的な内容とは?
物件を買い進められている人と、物件を買えてない人の最大の差は「行動力」の有無です。経験値を上げるためには、とにかく行動を起こすしかありません。言い換えれば、ヒアリングという行動を起こさなければ、「説得力」「交渉力」は身につかないということになります。
私はいろいろなクライアントの相談にのることがありますが、「行動力」の使い方を間違えている方を時折目の当たりにします。ものすごく行動力がある人が、成功した方の話を鵜呑みにして「とりあえず買わないとはじまらない」「とりあえずやってみないと」と、早急に物件を買ってしまうようなパターンがあるのです。
「とりあえず行動しなきゃ」というのは物件を買うことではなく、「とりあえずヒアリング」をすることです。私の場合は「とりあえず本を買う」し、「とりあえずお金払ってコンサルを受ける」し、「とりあえず実際その人に会いに行く」。そして、その時にヒアリングをします。
まずすべきことは「買うこと」ではありません。肝心なプロセスがぽっかり抜け落ちている人が多いので、せっかく持ち合わせている行動力というものを早まらず、正しく使っていってください。
金融機関は具体的な話をする投資家をパートナーに選ぶ
積極的にヒアリングを行っている不動産投資家の話は具体的で、「説得力」に富んでいます。金融機関の情報などにも精通しており、仲介会社とは「お客様」ではなく「パートナー」として深いお付き合いをしている人も少なくありません。
一方、ヒアリングをおろそかにしている不動産投資家は、ごく一般論的な話しかできない傾向にあります。行動できていないのでヒアリング能力が低く、「説得力」「交渉力」に欠けた話し方しかできないのです。それでは、金融機関や仲介会社ともいい関係は築けなくなってしまいます。どんなに不動産投資に関する知識があっても、ヒアリングという行動を起こしていない人は、投資家として大切なものが身についていないのです。
行動を起こすのは、「やる」と決めれば誰でもできることです。そして、行動の先には必ず結果があります。「説得力」「交渉力」を身につけることが不動産投資の成功につながるという意識を持ち、積極的にヒアリングを行うことが大切です。
これはヒアリングをしている時に実感することですが、賃貸仲介会社のスタッフも、できない人は一般論に終始します。逆にできるスタッフは、具体的な提案までしてくれます。一般論しか話せない投資家と同じように、そういうスタッフの話は全く参考にならないし、面白くないものです。