ヒアリングとは「横のつながり」を築くもの
あなたは、ヒアリングというものをどう認識しているでしょうか? 不動産投資に慣れてきた方、特に初心者から中級者に上がる前の方は、ヒアリングを「効率化」しがちです。
時間的余裕がないサラリーマンの方などは、不動産投資をなるべく効率的に進めようとします。その結果、現地調査や対話でのヒアリングなど、手間がかかるプロセスを削減してしまう傾向にあるのです。
不動産投資はシンプルな事業であるがゆえに、やろうと思えばかなりコンパクトに「効率化」できるのは確かです。
たしかに、うまく「効率化」すれば、不動産投資における投資家の負担はかなり少なくなります。しかし、あまりにも早い時期から効率化ばかりに気を取られてしまうと、それではいずれ立ち行かなくなるというのが私の見解です。
不動産業界は、良くも悪くも原始的です。10年前のノウハウが今なお通用する事業は、不動産投資以外にはなかなかないと思います。逆に、一度ノウハウを覚えてしまえば長期的な安定が見込めることは、不動産投資の長所といえるでしょう。
しかしその一方で、今なおオフライン的な「横のつながり」が重視されているという側面もあります。いわば、業界全体が昔気質なのです。
あまりにも早すぎる段階で「効率化」すればするほど、この「横のつながり」は得がたくなります。連絡は極力メールで済ませる、担当者とは業務的なやりとりしかしない・・・効率化だけで考えると正解のような気がしますが、不動産投資で結果を出そうとした場合、マイナスに働く可能性が出てきます。不動産業界で大切にされている「横のつながり」とはまさに人付き合いであり、「効率化」しにくいものなのです。
金融機関や管理会社を味方にできる「横のつながり」
ヒアリングのもっとも重要な役割は、地道な現地調査、関係する人たちからの情報収集を通して、金融機関や管理会社との「横のつながり」を築くことです。
「横のつながり」を築いて信頼関係が深まるほど、金融機関や管理会社は投資家に対して友好的に接してくれるようになります。そのことが、不動産投資において有利に働くことは言うまでもありません。融資条件の交渉がしやすくなる、優良物件を紹介してくれるなど、さまざまなメリットが生じるのです。
特に地方では、「横のつながり」がかなり強いです。地方物件は基本的に利回りが高いため、東京から地方に営業をかける人が大勢います。しかし、地方の人たちには「よそ者に入って来られたくない」という感覚が少なからずあるのです。それでも、直接現地に足を運んでコンタクトを取ると態度が一変することもあります。他の投資家との差別化という意味でも、現地でヒアリングをすることには大きな意味があるのです。
自分の味方が増えれば増えるほど、不動産投資は円滑に進むようになります。言い換えれば、「横のつながり」がなければ不動産投資をスムーズに進めることは難しくなるのです。しかし、そのことに気付かず、ヒアリングをおろそかにしている不動産投資家は少なくありません。そればかりか、融資が受けられない、いい物件が見つからないなど、負のスパイラルにおちいってしまうケースも見受けられます。