今回は、訳あり物件をつかまないための「信頼できる不動産業者」の選び方について見ていきます。※本連載では、訳あり物件アドバイザー・南野真宏氏の著書、『訳あり物件の見抜き方』(ポプラ社)の中から一部を抜粋し、各種問題を抱える物件を見抜くための基本ポイントを紹介します。

積極的に開示する傾向もある「瑕疵」についての情報

では、そんな訳あり物件をつかまないために、私たちはどうすればよいのか。まず必要なのは、信頼できる不動産業者を選ぶことだ。

 

広く名前が知られた業者の場合、ネットによる告発が蔓延する現代、その名前が傷つくことを恐れて、瑕疵についての情報は積極的に開示する傾向がある。

 

ただ、目先のノルマに追われた社員や、完全歩合の契約社員が自分の担当になる可能性は常に付いて回る。もし、接客に強引さが垣間見えた時は、別の担当者に変えてもらうほうがよいだろう。場合によっては、その店舗の上司や本部のコンプライアンス部門へのクレームが有効なのは、どの業界も共通である。

営業歴が長い=善良な業者とはいえない場合もあるが…

全国的に有名でなくとも、地域で地道に経営している老舗不動産会社もまた、十分利用に値する存在といえよう。

 

老舗不動産会社かどうかは、免許の更新番号で見分けられる。土地や建物を不特定多数に対して、継続的に売買したり、仲介する場合、宅地建物取引業法(宅建業法)の規定によって、国土交通大臣又は都道府県知事の免許を受けなければならない。

 

免許の更新期限は5年間。不動産屋の店内には、免状が掲示されており、『○○知事免許(○)第○○○○号』などと記載されている。カッコ内の数字に、5年間をかけた年数が、その宅建業者の営業年数である。つまり、カッコ内の数字が大きければ大きいほど、営業年数が長いということになるのだ。

 

もちろん、必ずしも営業歴が長いからといって善良な業者といえないかもしれないが、その地域で長年営業できるということは、それだけトラブルなくやってきたということであろう。歴史の重みというものである。

 

むろん、そうはいっても、すべてを不動産業者任せにするのはリスクもある。宅建業者が売主・貸主ではない場合、知りうる情報には限界があるのもまた事実なのだ。彼らもまた、売主・貸主が意図的に完全隠蔽した情報にまで触れることはできない。

 

結局必要となるのは、告知事項に頼らず瑕疵を見抜く目であり、売主・貸主・仲介業者の話をうのみにせず、自らで判断する力なのである。

本連載は、2015年11月2日刊行の書籍『訳あり物件の見抜き方』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

訳あり物件の見抜き方

訳あり物件の見抜き方

南野 真宏

ポプラ社

宅建の資格を持つ「訳あり物件」の第一人者が、具体例を挙げながら、他人事でない実態や見抜き方、回避法を紹介。自殺・他殺等の「事故物件」から土壌汚染、耐震不足、騒音振動、日照、迷惑住民…トラブルに巻き込まれないため…

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