「リスクの見極め」には限界があるだけに・・・
ソーシャルレンディング投資において最も気をつけなければならないのは「元本の毀損」です。平均期待利回りが8%のソーシャルレンディングは、10年で元手が2倍になるほどの高利回りである一方、元本毀損のリスクがあります※1。
※1クラウドポートが集計対象としている18社が募集したファンドの平均利回り
(2016年7月〜12月)。複利(毎年再投資)の場合。
元本毀損は貸付先のデフォルトが理由であることが大半ですが、それを避けるために投資家が行える主なことは「リスクの見極め」と「デフォルトを見越した損失対策」しかありません。
融資先の詳細を確認することができない投資家にとって「リスクの見極め」には限界があります。また、投資にはデフォルトが付き物です。となると、デフォルトは誰しもに起こりうるものという前提で考え、損失額を抑えるための最も大切な備えである分散投資を行うのが賢明でしょう。
それでは、ソーシャルレンディングでは一体何を分散すれば良いのでしょうか。
分散すべきは「テーマ・会社・ファンド・融資先」
分散投資といっても何を分散するのかによって種類が異なります。1ファンドあたりの投資金額を分散する方法だけでは不十分です。ソーシャルレンディングにおいては4種類の分散投資を知っておきましょう。
1. テーマ
不動産から個人向けローンまで、ソーシャルレンディングには様々なテーマのファンドがあります。その中でも不動産ローンファンドの割合が比較的高く、分散を意識せずに投資を行なっていると、不動産系に偏ったポートフォリオが出来上がってしまう可能性があります※2。
※2クラウドポートが集計対象としている21社が募集したファンド(2017年5月時点)
この場合、仮に不動産市場が大暴落してしまうと、多くの不動産ローンファンドがデフォルトに陥り、投資家が痛手を受けてしまいます。不動産以外のファンドであっても、エネルギー系であれば買取価格の変更、海外系ファンドであれば為替変動など、それぞれのテーマに固有のリスクがあります。
できるだけ多様なテーマでポートフォリオ形成することでリスク分散心がけましょう。
2. 会社
投資の前段階でサービス運営会社の信頼性を見極めることは大切ですが、安全な会社とリスクの高い会社を判別することは容易ではありません。ソーシャルレンディング事業者の多くは未公開会社であり、財務状況は開示されていないことがほとんどです。
仮に運営会社が倒産に陥った場合、投資元本への甚大な影響が予想されます。
手間だからという理由や、利回りが他運営会社よりも高いからなどの理由で、特定の運営会社に投資金額を集中させることは避けましょう。
3. ファンド
100万円を投資しようとした場合、1ファンド に100万円すべてを投資するよりも、10ファンドに10万円ずつ投資する方が望ましいと言えます。
デフォルトが起こった際、前者では100万円全て失ってしまう可能性があります。一方、後者では最大でも10万円の毀損に抑えることができます。
分散投資は投資ファンド数の増加に比例して必要な手間も多くなりますが、株式やFXなどの相場性商品とは異なり値動きが無いソーシャルレンディングは、運用が比較的楽です。デフォルトなどが起こらない限り、基本的には投資後に何も行わなくとも資金が分配され、利益を得ることができます。
また、ソーシャルレンディングなど中長期投資の成功に大切なのは、いかにリスクを抑え利益を積み立てられるかという観点です。分散投資に充てる時間は必要な手間として認識するべきでしょう。
4. 融資先
ファンドを分散して投資したとしても、最終的な借り手が同一企業であれば、実質的なリスク分散は効いていないことになります。
ソーシャルレンディングでは、貸金業法の規制により、最終的な借り手企業の情報は公開されません。ただし、事業者によっては借り手企業の識別ができるように固有のアルファベットを振っている場合があります。ファンド分散をする際には、融資先が重複していないかを調べてから投資するようにしましょう。
なお、クラウドポートでは、融資先が重複するファンドを簡単に調べることができます。融資先が分散できているか確認したい際にはぜひ参考にしてみてください。
リスクが高いと思われがちなソーシャルレンディング投資ですが、一手間かけることで、かなりリスクを抑えることができます。今回お伝えした4つの分散を意識し、堅実な運用を心がけましょう。
<POINT>
●ソーシャルレンディング投資の肝は元本毀損を防ぐこと
●分散投資により元本毀損リスクを軽減できる
●4種類の分散方法を知っておくと良い