税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
定期借家契約を除けば、相応の「立退料」が必要に!?
築年数が経ったため、空室が目立つようになったし、賃料水準も近隣に比べて低くなってきた。専門家に診断してもらったところ、耐震性能(地震に対する建物の強さ)に大きな問題があるため、速やかに補修ないし建替えを行うべきと言われた。子や孫と一緒に住みたいので、アパートを取り壊して、その土地上に3世代住宅を建てたい・・・。
このようなニーズにより、建てた当時は十分な収益を生んでくれたアパートも、時の経過による状況の変化によって、取り壊しを検討しなければならない時期が到来します。
取り壊しにあたっては、居住している賃借人に退去してもらう必要がありますが、定期借家契約を除き、多くの場合、相応の立退料が必要となるということをお聞きになった方が多いと思います。
この「立退料」というのが、場合によっては意外に高額となることがあるため、現時点で建替えを行うべきでない、建替え以外の方法で対処すべきである、といった判断をすべき場合もあり、経済的合理性の観点においては最も重要な判断要素となるといっても過言ではありません。
そのため、本稿では、「立退料」とは、法的に払う必要があるものなのか、払う必要があるとしていくら払う必要があるのか、を明らかにするとともに、実際に建替えを検討する際の流れ(判断プロセス、建替えに要する時間や費用)についてご説明したいと思います。
立退料の法的根拠となる「借地借家法28条」
まず、立退料の法的根拠ですが、借地借家法の適用される普通借家契約においては、借地借家法28条がその根拠となっています。
同条は、期間満了による終了や中途解約の申し入れが有効となるためには「正当事由」が必要である旨規定しています。そして、その正当事由の判断にあたっては、(a)賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情を主として考慮しつつも、(b)従前の経過(権利金又は更新料の支払の有無、家賃滞納の有無など)、利用状況(どういう目的で、どういう具合に利用しているかなど)、建物の現況(建物の物理的又は機能的な劣化状況など)、財産上の給付の有無といった事情を補完的に考慮する旨規定されています。
上記の「財産上の給付」のことを、実務上、立退料と呼んでいるわけです。
意外と誤解されている方が多いのですが、立退料は、正当事由の判断にあたっての補完事由にすぎません。ですから、いくら高額な立退料を提供した場合であっても、それだけで正当事由が認められるわけではありません。
賃貸人及び賃借人の建物の使用を必要とする事情を主として考慮した上で、立退料の提供その他の要素が補完的に考慮されることになります(逆に、実務上まれなケースではありますが、立退料以外の事情が十分であれば、立退料の支払いが不要となる場合もあり得ます)。
ところが、条文上は、「財産上の給付」という記載があるだけで、その支払金額の基準は設けられていません。立法時に、支払金額の基準を設けるかどうかについても検討されたものの、基準化することは見送られたという経緯があるようです。ですから、事前にいくら払えばよいのかという試算を明確に出すことは難しいのが現状です。そのため、過去の裁判例や、不動産鑑定士の評価を参考にしながら予測値を算出しています。
次回以降は、都内の2階建て、合計10室ワンルームのマンションないしアパート(1室の月額賃料7万円)という事例を前提に、建替えの有無を検討するにあたって、建て替え時期の判断プロセスから裁判等に至るまでの実際の流れをご説明したいと思います。
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