不動産の契約書もノタリスが作成
インドネシアでの不動産の契約では、ノタリス(司法書士)に依頼することになる。ノタリスというのは、日本でいえば司法書士ということになるのだが、実際はもっと権限があり、弁護士に近い仕事もしている。
司法書士というと、日本では不動産登記や会社設立など主に登記業務をやるのが仕事で、法律家の先生というよりは事務方的なイメージが強い。インドネシアにおけるノタリスの業務は、もっと広範囲だ。
●不動産の買主が決まったら、売主と買主と仲介の不動産会社が揃ってノタリスの事務所で打ち合わせをする。
●売主買主のどちらが税金の負担をするかの調整
●契約日の調整、測量士の手配
●双方の意見を調整し、売買契約書の作成
●売買代金の領収書の作成、税金の徴収
日本では不動産業者が契約書を作るのが一般的だが、インドネシアではノタリスが作る。
ノタリス契約書の中に、売主買主の住所氏名を記載した箇所があるが、それ以外のすべてのページと印紙にサインをする。
このサインは、氏名というわけでもなく、〇でも▽でも✖でも何でも構わない。名前がアルファベットで記載がある箇所には、パスポートと同じサインする。会社の場合はハンコを押し、代表者がサインをする。
現地のルールを把握して「不当な支払い」を回避
日本と大きく違うことは、原本はノタリスが保管するということだ。日本では契約書の原本は最低でも2部作り、それぞれに売主と買主が押印し、それぞれが保管する。
インドネシアでは、売主と買主は後日ノタリスが判子を押したサリナンという副本をもらう。ここには両者のサインはない。また慣習として、土地取引税は取引時にノタリスに支払う。取引税は、取引金額の10%なのだが、これが結構な金額になるので、ノタリスの裁量で売主買主がもらう副本には税金対策用に安くした金額を記載されている。
もちろん、ノタリスが保管する契約書の原本には正規の金額を記載されている。ノタリスの報酬は、一般的には売買金額の1%であるが、取引の金額があまりにも少ない場合は、ノタリスが1%を超える請求をすることもある。
それはある程度は仕方がないことだが、不当に高い金額を提示されることもあるので気をつけたい。これは仲介の不動産業者が提示していることがほとんどで、過去には何度となく10%の請求された。
この記事をお読みになっている賢明な皆さんは大丈夫だろうが、お気の毒にも知らないで実際に支払っている日本人もいる。注意してほしい。