市街化調整区域でも、2つの条件を満たせば適用可能
Q:下図のように、市街化調整区域内にある現況宅地の土地は、広大地の評価の適用があるのでしょうか。あるとしたらどのように評価するのでしょうか。
<回答>
市街化調整区域であっても、①条例指定区域内の土地で、②都道府県の条例の内容により戸建分譲を目的とした開発行為を行うことができる、という2つの条件を満たしていれば、広大地の評価ができます。
市街化調整区域の宅地、雑種地であっても適用できる
<評価担当者の見解>
評基通24‒4で広大地の評価方法が定められています。この項では、特に市街化区域かどうかの定めはありません。
ただ、2つの要件である①標準的な宅地に比し著しく広大であること、②開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものを具備しているかどうかです。したがって、この2つの要件を満たしているのであれば、広大地の評価は適用できます。
市街化調整区域内の広大地の評価の適用については、「17年情報」の「5市街化調整区域内の土地に係る広大地の評価について」において、次のように記載されています。
〜〜〜〜
5 市街化調整区域内の土地に係る広大地の評価について
⑴市街化調整区域内の土地の分類
平成12年の「都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律」により、開発許可制度は、地域の実情に応じた土地利用規制を実現するために柔軟な規制が行える体系に整備されることとなった。具体的には、旧「既存宅地」制度を、経過措置を設けて廃止することとし、都道府県(指定都市等又は事務処理市町村の区域内にあっては、当該指定都市等又は事務処理市町村。以下同じ。)が条例で区域を定め、その区域においては周辺環境の保全上支障がない用途の建築物の建築等を目的とする開発行為を許可対象とした(都市計画法第34条第8号の3)。
(注)旧「既存宅地」制度とは、改正前の都市計画法第43条第1項第6号に基づく制度で、市街化区域に近接し50戸以上の建築物が連たんするなどの地域に存し、市街化区域及び市街化調整区域の線引き前からの宅地であったとして、都道府県知事等の確認を受けた宅地を通常、既存宅地という。
上記の法律改正に伴い、市街化調整区域内の土地については、「条例指定区域内の土地」及び「それ以外の区域内の土地」の2つに分類することができる。
イ 条例指定区域内の土地
「条例指定区域内の土地」とは、上記の都市計画法の定めにより開発行為を許可することができることとされた区域内の土地であり、具体的には、「市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であっておおむね50以上の建築物が連たんしている地域」のうち、都道府県の条例で指定する区域内の土地をいう。
当該区域内の土地については、都道府県知事は、開発区域及びその周辺の地域の環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないものについて、開発を許可することができることとされている。したがって、その区域内のすべての土地について、都市計画法上の規制は一律となる一方、許可対象とされる区域の詳細や建築物の用途等は、都道府県の条例により定められることとなるため、それぞれの地域によってその内容が異なることとなる。
ロ それ以外の区域内の土地
上記イ以外の区域内の土地については、原則として、周辺地域住民の日常生活用品の店舗や農林漁業用の一定の建築物などの建築の用に供する目的など、一定のもの以外は開発行為を行うことができない。
⑵広大地に該当するかどうかの判定
上記⑴により、市街化調整区域内の宅地が広大地に該当するかどうかについては、「条例指定区域内の宅地」であり、都道府県の条例の内容により、戸建分譲を目的とした開発行為を行うことができる場合には広大地に該当するが、それ以外の区域内に存するものについては、広大地に該当しない。
また、市街化調整区域内の雑種地で、宅地に比準して評価する場合については、宅地の場合と同様に取り扱うことが相当である。
〜〜〜〜
この情報に合致していれば、市街化調整区域の宅地若しくは雑種地であっても広大地の評価はできるものと判断します。
なお、市街化区域内の雑種地を評価する場合はその区域内が条例指定区域内でなかったとしても、近傍宅地の評価が何を基準(条例指定区域内の宅地の価格)にしているかによって、広大地の評価ができるかどうかを判断若しくは近傍宅地の評価代えを行う必要もあります。
この話は次回に続きます。