今回は、共有持分・単独持分による「広大地評価」の違いについて説明します。※本連載では、相続税対策を始めとするあらゆる資産税業務に精通したプロ集団、JPコンサルタンツ・グループによる著書、『三者の視点から見た広大地評価の実践事例』(法令出版)より一部を抜粋し、税理士、不動産鑑定士、元税務調査官の三者の視点から見た、広大地評価についての考え方・評価方法を事例をもとに解説していきます。
共有持分と単独持分・・・評価額は異なるのか?
Q:遺産分割をどのようにしたらよいか考えています。広大地の評価の適用を受けたいと思いますが、分筆登記をして個人がそれぞれ所有する場合と、一つの土地として共有で所有する場合では評価額が異なるのでしょうか。
分割の仕方によっては、評価額で1億円の差が出る!?
<回答>
広大地の評価は、一つの土地の所有形態により評価単位が異なります。全体の土地(5,000㎡)を各人が共有した場合の評価額は、次のとおりとなります。
全体の土地を各人が1,000㎡ずつを取得した場合の評価額は、次のとおりとなります。
分割の仕方によっては、評価額において1億円の差が生じます。この1億円の差は、税額にして約5,000万円に及ぶことも稀ではありません。
単純に評価額だけを考えた場合には、共有で全体を持ってもらった方が評価額は低くなります。しかし、相続人の仲が良い場合とそうでない場合によって、遺産分割の方法が異なってきます。
分割方法はいろいろあると思いますが、納税額を少なくする方法も一つの考え方だと思います。
この話は次回に続きます。
税理士法人JPコンサルタンツ
代表税理士
昭和46年東京国税局総務部・東京国税局管内税務署に勤務し、主として資産税関係事務を担当。平成8年神田署勤務を最後に退職、同年小林登税理士事務所開設。平成17年税理士法人トゥモロー・ジャパン設立。平成21年JPコンサルタンツ・グループ代表取締役に就任。平成24年待山会計事務所と経営統合を図り、組織再編された税理士法人JPコンサルタンツの代表税理士に就任する。年間100件を超す相続案件を手掛ける。
<主な著書>
『広大地の評価実務Q&A』(中央経済社)、『相続税・贈与税の実務土地評価』(大蔵財務協会)他多数。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載相続税対策のために知っておきたい「広大地」の評価事例
税理士法人JPコンサルタンツ 役員税理士
不動産鑑定士
平成10年7月、税理士登録。平成15年3月、不動産鑑定士登録。平成15年4月、税理士事務所開設。同年、有限会社アプレイザル・アルファ設立。平成17年10月、総合士業事務所の株式会社プライムを共同設立。平成18年3月、行政書士登録。平成26年4月、税理士法人JPコンサルタンツと税理士事務所の経営統合により、役員税理士に就任する。その専門性を活かし、鑑定評価及び相続税を中心とする資産税に力を注ぎ、多くの実績を有す。近年は税理士会・新聞社主催セミナー及び任意団体における研修会など、講演活動も精力的にこなす。
<主な著書>
『土地の税務評価と鑑定評価』(中央経済社/共著)、『広大地の評価税務Q&A』(中央経済社/共著)他多数。
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