「無駄にクリニックに来ない」ように指導する
前回の続きです。
もうひとつの混雑解消方法は、逆説的なようですが、患者に対して「無駄にクリニックに来ない」ように指導することです。そもそも、現在の医師不足や医師の超過勤務の原因は、本来は病院に来る必要がないような人が無闇に来院してしまうことにもあります。
もちろん、患者は医師ではないので、勝手に自分自身を診察して、「大丈夫だから病院に行く必要はない」「これは病院に行くべきだ」と判断することはできません。また「病は気から」ではありませんが、心配性の人が、安心を求めて来院することを止めることもできません。
それでも、患者自身に基礎的な医学知識があれば、そんなに心配しなくてもよくなるはずです。特に、夜間や休日に病院に駆け込んでくる患者の中には「この程度の症状であれば、慌てて当直の医師に診てもらうより、平日の朝になってからゆっくり専門の医師に診てもらった方がいいのに」ということもあります。
ですから、患者に基礎的な知識を持ってもらうことは、良質な医療を持続可能(サステイナブル)にするためにも、また、地域住民の健康増進のためにも、欠かせないことだと考えています。
患者自身が病気について深く知ることが重要
そもそも街のクリニックの使命は、地域医療を担うことだけでなく、その地域の医療レベルを向上させて、住民の健康を守ることにもあるはずです。患者に対して医療や健康についての啓蒙教育を行うことで、不安に駆られて無闇に病院に駆け込むことが少なくなれば、医師にとっても、患者にとっても、生活の質(QOL)が高まるといえないでしょうか。
私はクリニックを繁盛させるうえでは、多少診察時間が長くなったとしても、医師が患者に対してきちんと病気の説明をすることと、それによって患者自身が病気について深く知るようになることが、非常に重要だと考えています。
そして、本当に医療の必要な患者だけが来院して混雑が緩和すれば、待ち時間も減って患者自身の満足度も上がります。もちろん、毎回丁寧な説明をしてくれる医師に対して、患者からの信頼度が増すことは間違いありません。