前回は、クリニックの待ち時間を減らす「問診票」の有効活用法を取り上げました。今回は、待ち時間短縮のために重要な「他のクリニック」との協力について見ていきます。

評判がいいクリニックほど待ち時間が長い

そもそも、なぜ患者の待ち時間が長くなるのかといえば、それはクリニックが混雑しているからです。裏を返せば、それだけ評判がよくて繁盛しているということですから、本来であれば喜ばしいことです。しかし、人手の限られている街のクリニックでは、評判がよくて患者が増えれば増えるほど、待ち時間が長くなって患者の不満が高まることになります。これを解消するには、無駄を省いて効率をよくして回転率を上げることか、そうでなければ患者の数を減らすしかありません。

 

医療というものが普通のビジネスと一番大きく異なる点は、患者が満足(完治)すると、来院しなくなるという点にあります。通常の商売であれば、お客さんのために尽くして、お客さんを喜ばせれば、それに伴ってお客さんの訪問頻度が高まって、ますます商売が繁盛するものです。

 

しかし、医療においては、患者は治癒すると(一時的に)来院しなくなって、また病気を患ったときまでは訪問がなくなります。ですから逆説的なようですが、患者が無駄に足を運ばないようにすることで、混雑が緩和され、患者の待ち時間を減らすことができるのです。

 

もっとも、患者の来院回数を増やして診療報酬を稼ごうなどと姑息なことを考える医師はいないと思います。そうであっても、評判のよい医師のもとには患者が殺到するので、どうしても混雑が発生してしまうのです。

地域内の他のクリニックは競争相手ではない!?

クリニックにおいてよりよい医療を提供すればするほど、そのクリニックに患者が集中して、満足度が下がってしまう。この問題に対しての答えは2つあります。

 

ひとつは、地域内によりよいクリニックを増やすことで、患者の分散を図ることです。今、それぞれのクリニックは、それぞれの医師によって一国一城の主とばかりに分散していますが、よいノウハウはお互いに教え合って、ゆるやかな提携をすることができるのではないかと考えています。

 

そもそも、クリニックというものは立地に大きく左右されるため、よほど近場にない限りは、熾烈な競争関係にありません。そこで、お互いを競争相手と見るよりは、個々のクリニックを地域医療の柱として、どのようにしたら地域住民によりよい医療を提供できるかを一緒に考えてみたいのです。

 

お互いのよいノウハウを共有することで、どこのクリニックでも一定の質が担保された医療が受けられるようになれば、ひとつのクリニックに患者が集中して混雑が発生するような事態も、ある程度は解消できるはずです。

 

次回、もうひとつの混雑解消方法を紹介します。

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    本連載は、2017年1月26日刊行の書籍『自己資金ゼロ・ローリスクで 儲かるクリニックを開業する方法』(幻冬舎メディアコンサルティング)の本文から一部を抜粋したものです。

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    市川 直樹

    幻冬舎メディアコンサルティング

    勤務医は慢性的な医師不足で時間外の労働が多く、給与も働きに見合わず、過酷な労働環境におかれています。 一方、そうした状況から理想の医療の実現を目標に開業する医師もいますが、都市圏のクリニックは今や乱立状態にあり…

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