「順番予約」で患者のストレスを軽減
医療に「時間予約」は難しいと思われている中に登場したのが「順番予約」のシステムです。「順番予約」とは、時間は読めないけれども順番は明確に読めることから生み出された、新しい予約システムです。
順番予約とは、当日に予約した人から順番に診察するシステムです。患者が、クリニックに行こうと考えた日に、ウェブや電話や受付で予約をすると「現在、〇人の患者がお待ちなので、●番目になります」と告げられます。自分の順番が近くなるとメールなどで通知されるので、それまでは家で家事をしていてもいいし、近所で買い物をしていてもいいし、自由に時間を使うことができます。クリニックの待合室で、時計を眺めながらイライラと無駄な時間を過ごさなくてもよいのです。
順番予約は、一見、待合室で待たなくてもよいというだけのシステムに思えますが、予約システムがまったくない場合に比べてみれば、その内実が大きく異なります。まず、患者にかかるストレスが軽減されます。患者のストレスというのは、待合室に縛り付けられることだけではありません。いったいいつになったら自分の順番が来るのかわからず、常に「あと少しかな」という臨戦態勢で待っていなければならないことがストレスなのです。
順番予約制であれば「あなたは15番目です」とか「あと2時間待ちです」などと教えてもらえるので、待合室を抜け出して用事を済ませることもできるのですが、旧弊なクリニックではそうはいきません。時間になって呼ばれたときに待合室にいなければ飛ばされてしまいますから、イライラしながら待機するしかないのです。また、はっきりとした時間が決まっているわけではないので、「時間になったのに診てもらえない」という不満も出ません。待ち時間が長くても前の人が長引いたということで、理解してもらえます。
来院せずに、ウェブや電話からの予約が可能に
さらに、予約制を導入していないクリニックでは、来院しなければ受付をしてもらえませんでしたが、順番予約システムでは、ウェブからでも、電話でも予約ができます。クリニックから遠いところに住んでいる患者にとっては、便利なことこのうえありません。ときには、予約するために順番を聞いてから、「今日は混んでいるから明日にしよう」という判断もできます。
順番予約というシステムができたおかげで、クリニックに予約システムを導入するハードルがぐっと下がりました。患者側も、ぎりぎりまで家やショッピングモールなどで待機し、順番が近くなればクリニックに向かいます。その結果クリニック内での待ち時間は大幅に削減され、院内での平均待ち時間約5分を実現するまでになりました。
とはいえ、旧弊なクリニックではいきなり予約システムを導入するのは、内部のシステム的にも、スタッフ的にも難しいでしょう。電子カルテや予約システムなどのIT設備、また最新の医療機器の導入など、設備面においては新規開業クリニックに大きな優位性があるといえます。