前回は、事業承継における「後継者の納税資金」をどう準備するかを解説しました。今回は、後継者が行うべき「事前準備」について見ていきます。

経験不足のまま事業を引き継ぐ後継者たち

製造業であれば工場の現場責任者を務めていたり、小売業であれば店舗の幹部を任されていたり……後継者は何らかの形ですでに引き継ぐ会社にかかわっていることが多いものです。

 

しかし社長になれば、そうした現場の仕事以外に、ここまで見てきたような株式の引き継ぎ、会社の経営方針決定や財務など、知らなければ対応できない問題や、重い責任を伴うにもかかわらず、即座に決断を迫られる問題がいくつも出てきます。本来であれば、経営者になる前から自主的に学びつつ、前経営者から実地教育を受けておくことが望ましいのでしょうが、中小企業ではそのような機会が与えられることは多くありません。

 

結局、後継者の多くは経験不足のまま事業を承継せざるをえず、責任の重い経営課題を目の前にして、一人思い悩むことになるわけです。

社内から「相談役」となる幹部を見つける

ここまで紹介した問題はほんの一部です。それ以外にも会社の経営では人事の問題もあります。経験も乏しく、引き継いだ会社の社員との間に信頼関係がないまま、素人意見をはさんで社員から反感を買う。あるいは引き継いだ後に、前社長と経営方針が異なるために古参社員の離反が起きるなども少なくありません。

 

さらに、取引先との関係性も重要です。卸売業などで取引先と属人的な付き合いが先行する場合には、社長交代時に得意先への顔つなぎを十分に行う必要があります。そうした配慮を欠いてしまったために、顧客離れを招いているような例も少なくありません。

 

これらの失敗は、社長としての経験の乏しさがもたらしたものといえます。そのため後継者には、自らの経験不足が経営に与えるマイナスの影響を意識し、経営に関して気軽に相談できる番頭役となる幹部を見つけるなどの努力が求められるのです。

本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

「親族内」次期社長のための失敗しない事業承継ガイド

大磯 毅/中山 昌則

幻冬舎メディアコンサルティング

戦後70年を迎え、多くの中小企業に降りかかっているのが「事業承継」の問題です。 しかし、現社長のなかには景気の低迷、適当な人材の不在などの理由から廃業を考える人が少なくありません。また、社長の息子や親族などの後継…

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