「専門家」を自由に使いこなすことが重要
これからの時代、資産家・富裕層が自らの資産を守り、増やしていくためには、人任せではない対応が必要です。もちろん、だからといって何もかも自分で行う必要はありません。そうではなく、専門のブレーンを選び、上手に使いこなせばいいのです。
資産家・富裕層に対して、専門的なアドバイスやコンサルティングを行う専門職として、弁護士、税理士、会計士などがいます。
ところが、会社経営者の方が自社の会計顧問である税理士に相続の手続きを任せたらあまりにうまくいかず、行き詰って途方にくれてしまうというケースが少なくありません。専門家だからということで信頼しても、思うようなサービスが受けられるとは限らないことは知っておいていただきたいと思います。
1年に1件!? 税理士が取り扱う相続税の申告件数
まず、税理士の問題を整理してみましょう。確かに税理士は税金についての専門家であり、税金のことは税理士に相談すれば何でも答えてくれるはずと思いがちです。
しかし、税理士には得意分野、不得意分野があります。日々、クライアントから相談を受けたり、税務署への申告など実務を手掛けている分野は当然、得意になっていきますが、ごくたまにしか扱わない分野は詳しくないのはある意味、当然でしょう。
特に相続税についてそのことが当てはまります。相続税について、国税庁と税理士会の統計情報をもとに試算したデータでは、税理士1人あたりが1年間に手掛ける相続税の申告件数は0・72件しかありません。1人あたり年1件もないのです。
みなさんも、年に一度やるかやらないかの仕事のプロセスをきちんと覚えているでしょうか。もう一度、マニュアルを見直したり、以前の報告書を見直したりしながらやって、それでもミスが起こるのではないでしょうか。あるいは、骨折したかなと思ったとき、近くに外科がないといって内科に行ったらどうなるでしょうか。痛み止めはもらえるでしょうが、骨折かどうかの確認や治療は無理でしょう。
そうしたドタバタが、相続税の申告の世界ではまさに起きているのです。