「現金有高と現金残高の照合」を習慣に
上司が残業している手前、定時でなかなか帰れない。そんな、会社員生活でありがちな無用な〝残業ストレス〟ナシ。自分自身で、仕事終わりの時間を決められるのは、自営業の醍醐味のひとつです。
ただし、「仕事終わったー! よし、ビールでも飲むか!」と、缶ビールを〝プシュッ〟と空ける前に、習慣づけていただきたいことがあります。その日のお金の管理です。ここまでも申し上げてきたことですが、改めて順を追っておさらいをしておきましょう。
大枠の段取りは以下の通りです。
1 現金の取引があったら、現金出納帳に摘要と額を記帳する。
2 細かい買い物で、個人の財布から事業用支出をした場合は、事業用の財布からその分のお金を移す。運転資金が足りず、個人のお金から移した場合は、事業主借で処理する(逆の場合は事業主貸)。
3 事業用の財布の中身(現金有高)と現金出納帳の残高(現金残高)が合っているかを確認する。合っていない場合は、そのままにせず、原因を解明しておく。
もし、売上のうち、現金の受け取りをメインとする事業の場合、レジのお金の管理も大事です。
先に事業用の財布と、プライベートの財布を分ける重要性について触れましたが、レジがいわゆる事業用の財布となるわけです。
その場合は、以下のようなステップになります。
1 営業終了後、売上を打ち出し、入っているお金と合っているかを確認する。
2 レジのお金から、事業用の経費を出した場合は、その領収書を入れておく。その場合、現金残と領収書の額を合計し、レジの売上に合致するかを確認する。
3 毎日、レジに入れるお金は5万円程度の一定額にし、それを上回る売上は個人の財布に「事業主貸」として移す。
仕事終わりの10分間がお金を貯めるゴールデンタイム
最初は面倒なように思えるかもしれませんが、慣れればものの10分で作業は終わるはず。一日10分で、知らず知らずのうちに事業用資金の流れが分かり、お金の感覚も磨かれるのですから、やらない手はありません。
こうした積み重ねを経て、月末に、銀行通帳上の収支を含めて、お金の流れを確認し、次の連載で解説する「集計表」をつければ、月ごとに事業の状況を把握するとともに、決算、確定申告に向けての作業負担も随分ラクになるはずです。
本業を成功に導くためにも、仕事終わりの10分間を「お金を貯める」ゴールデンタイムと位置づけ、しっかり習慣づけていきましょう。