「相場より高い家賃」の「長期契約」には注意
マンション経営の場合、空室リスクを軽減させるために管理会社などとサブリース契約を締結するケースがあります。この契約期間は業者によってケースバイケース。個々の契約によって異なります。では、長期契約と短期契約のどちらがお得なのでしょうか?
1.長期契約
2.短期契約
A. どちらかといえば短期契約
<解説>
もし、周辺の家賃相場よりも高い賃料で、35年・金額固定といった長期のサブリース契約をしてもらえるならば、それに越したことはないでしょう。しかし、そんなことはまずあり得ません。管理会社だって利益を上げなければならないのですから。仮にそんなところがあるとすれば、販売価格に、管理の利益がのって、非常に割高になっているはずです。要するに物件価格が相場よりも高い。結局どこかで利益を得るようになっているのです。
短期だと、更新の手間や家賃が下がる可能性といったデメリットが多いように思うかもしれませんが、実はそうでもないのです。たしかにサブリース契約をする会社の中には、最初の家賃だけ高めに設定して契約し、その後更新ごとに下げていくという悪い手を使うところもあります。
しかし、そんな会社ばかりではありません。サブリース契約を交わしてから10年以上ずっと変わらない、あるいは更新時に契約賃料が上がったというケースもあります。その理由は、最初から相場に合った賃料設定をしているからだそうです。だから安定した入居率を維持でき、家賃を下げていく必要がないのです。
設定家賃が適正か否かをしっかり見極める
サブリース契約をする際は、契約期間の長短にかかわらず、設定家賃が適正かを確認することが非常に重要です。適正な設定家賃なら、万が一契約先の管理会社が倒産しても、安定した入居率が期待できるので、代わりの会社が見つかりやすいのです。
また、短期契約ならではのメリットとしては、流動性の確保があります。契約期間中に物件を売りたくなった場合は、通常違約金を支払って解約することになります。違約金の相場は家賃の6カ月分といったところでしょう。もし、長期契約を結んでいたら、この違約金のために売れない状況がずっと続いてしまう可能性もあります。また、身内に貸したい場合や入居率がいいのでサブリースの必要がないと判断した場合も、この違約金が障害になります。
相場に合った設定家賃であるなら、契約更新のたびに家賃が下がっていく可能性は低いはずです。現在アベノミクスにより長期のデフレから脱却し、インフレへと向かう流れもあります。そのときにも家賃を高く設定する交渉ができるというメリットもあります。ならば流動性を確保するために短期契約にしておくのも賢い選択といえます。