穏やかさ、実直さ・・・目は口ほどにものを言う
私たちがクライアント企業から依頼を受け、初動段階のサーチによって候補者をリストアップしていくなかで得られる情報は、基本的にそのかたの専門知識、スキル、ノウハウ、すなわち「心・技・体」でいう「技」の部分にすぎません。
マネジメント層のなかには、ビジネス界でも名の通ったかたなどもおられます。そうしたかたであれば、業界紙や専門誌、インターネット上などにも、その人物に関する情報の大枠は掲載されていたりもしますので、事前にリサーチすることも可能です。
しかし、そうしたケースは決して多くはありません。ほとんどの場合、実際の面談のなかから、そのかたの「体」や「心」を探りながら、理解を深めていくことになります。
「体」については前回説明したとおりですが、それでは「OS」に通じる「心」の部分をとらえるために、私たちはどこに注目するのか。これが実は、候補者とクライアント企業をマッチングさせるうえで重要な、私たちの能力の見せどころの一つなのです。
まず、初対面の挨拶を交わすなかで、相手の全身を観察した次に着目しているのが、相手の「目」です。「目は心の窓」ともいわれますが、やはり目には、そのかたの人間性が表れるものです。穏やかさ、実直さ、厳しさなど、まさに「目は口ほどにものを言う」なのです。
候補者が「何に満足する人なのか」を見抜く
また、心情のよろしくない人はどことなく目に曇りがあるものですが、このあたりは前回説明した「体」に関する情報の一つでしょう。
私たちは、そのさらに下層にある相手の「心」も見なければなりません。その人を真に知るためには、「動機、安心(満足)はどこにあるのか」を第一印象から受ける「体」の部分から紐解いていきます。これが「心」を見る第一歩となります。
第一印象と行為だけを見ていると「変わった人」と評価してしまいそうな候補者であっても、その行為は「何を動機にしているのか」を知ることで印象が変わるケースもあります。
その人は何に満足して仕事をしているのか、何に満足して暮らしているのか。あるいは、どういう状況や環境があれば、その人は満足を得られるのか。会話のなかから、それらを知ることができれば、相手の真の人物像が明瞭になってくるはずです。
あなた自身の周囲にいるかたがたについても、「何に満足する人なのか」を念頭に、じっくりと観察してみてください。例えば、あなたの上司の満足感の在り処が、自分の意のままに部下が動いてくれることなどであれば、その支配欲の強さからどういったスタンスで仕事をすることを望むタイプなのかが把握できることでしょう。
これを続けていけば人物眼を養う練習になります。もし、あなたにヘッドハンターから声がかかったとき、先方が本当にあなたのことを考えて斡旋しようとしているのか、単に自分の業務成績を上げるためだけで持ってきた話なのか、見抜くことができるようになるかもしれません。