今回は、一流の人材に共通する点を見ていきます。※本連載は、半蔵門パートナーズ・社長で、自身も日本を代表する現役のヘッドハンターとして活躍する武元康明氏の著書、『会社の壁を超えて評価される条件』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、経営者の目線で「一流人材の条件」とは何かを見ていきます。

上の立場にある人ほど、予定は変えない傾向にある

私が接している一流と感じる人材に共通することの一つに、よほどのことがない限り、一度決めたスケジュールは厳守するということがあります。

 

これはビジネスの場面だけではなく、プライベートでの飲み会の約束なども同様です。面白いもので、会社のなかで上の立場の人になるほど、予定を変えない傾向があるように思います。人としての信頼につながることだけに、立場の上のかたほどそうした意識が強いということの表れです。

 

以前、こんなことがありました。私の故郷である石川県の企業の社長とお約束して、金沢市内の料亭で一席設けていただくことになり、東京から私と他1名が向かうことになりました。

 

ところが、羽田空港を離陸した飛行機が大雪のため小松空港に着陸できないかもしれない、というアナウンスが機内に流れたのです。私たちにはどうすることもできませんから、事の成り行きに身を委ねるしかありませんでした。

 

そのころ、小松空港には先方の社長秘書が、私たちを出迎えるために待機されていました。空港内にも私たちが乗った便が着陸できない可能性を伝えるアナウンスが流れたため、秘書のかたは社長に一報を入れたそうです。

 

結局、私たちの搭乗した飛行機は1時間ぐらい空港の上空を旋回した後、無事、小松空港に到着し、私たちは社長と会食することができました。

 

出迎えてくれた秘書のかたにたずねたところ、その社長は私たちが乗った飛行機が着陸できなかった場合、2名分の予約を取り消すわけにはいかないからと自社の社員2名を店に待機させていたそうです。

 

当日のキャンセルはお店に迷惑がかかるからという配慮、心遣いからの対応だったのですが、おそらく予約した店が料亭ではなく、安価な食事処や小料理屋さんであったとしても、先方の社長は分け隔てなく同じような対応をされたでしょう。

 

そういう意識はおのずとビジネスの進め方のなかにも息づいています。それは社長個人の器量としてだけでなく、会社全体に波及して、信用や信頼につながっていくのだと思います。

入ってきたアポイントメントは「すべて平等」

その後、今度は私が別の一席を設ける機会がありました。先方は数年ぶりに会う取引先企業の社長。都内で会食の約束をしたときのことです。

 

この日も朝から大雪が降り、昼過ぎには交通機関がストップするというニュースも流れていました。そのほぼ直後、先方の社長から、「今日は難しいのでは?」という連絡が入ったのです。

 

しかし、私のなかでは、前述の金沢で得た教訓の記憶が鮮明にありました。過去に恩人から「そういうときこそ絶対に行け。そうしないと足元を見られるぞ」と教わっていたこともありましたので、予約人数に穴を開けないよう弊社社員を連れて店へと向かったのです。

 

どんな天候が理由であっても、当日になって急に人数を減らしたり、キャンセルしたりということになれば、その店に多大な迷惑をかけてしまうことになります。この雪でキャンセルになるものと思っていた店主はとても喜んでくれ、その日以降、私の予約は何をおいても入れてくれるようになりました。

 

私自身のエピソードはさておき、優秀な人材は一つのスケジュールや約束事の重みに対して、信念を持って向き合っているように思います。優先順位の高低では決してない。入ってきたアポイントメントは、すべて平等。先方の肩書きやその日の天候などで優先順位をつけてしまうような人は、一流の仕事ができるようにはなれないでしょう。

会社の壁を超えて評価される条件

会社の壁を超えて評価される条件

武元 康明

徳間書店

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