本連載は、半蔵門パートナーズ・社長で、自身も日本を代表する現役のヘッドハンターとして活躍する武元康明氏の著書、『会社の壁を超えて評価される条件』(徳間書店)の中から一部を抜粋し、経営者の目線で「一流人材の条件」とは何かを見ていきます。

その人の「センス」として板についた着こなしか?

「人は外見で判断できない」と言われますが、私たちが初めて候補者とお会いする際に、まず注目するのは、そのかたからどんな第一印象を受けるかです。まずは頭のてっぺんからつま先まで、すべてを見る。するとこちらには、候補者のかたのその日のファッションセンス、声のトーン、言葉の選び方など、様々な情報が飛び込んできます。

 

ビジネス界の定説として、こんな言葉があります。

 

「商談の80パーセントは第一印象で決まる」

 

80パーセントは大げさだとしても、私の経験則では50パーセント程度の影響は十分与えるものだと思います。その人の見た目、態度、そこから醸し出される雰囲気など、相手に与える第一印象こそが、「心・技・体」でいうところの「体」なのです(「体」=第一印象は一夜にして成らず)。

 

しかし、ファッションに関しては、何も高級ブランドに身を包んでいることが正解というわけではありません。私たちがお会いする候補者は、すでに会社のなかでそれなりの地位と収入を得ているかたが多く、服飾や持ち物に対してある程度のお金をかけられるため、高級=センス良しという図式は成り立ちません。

 

私が注視するのは、ブランドが前面に出てしまってブランドに着られっぱなしになっていないか。その人のセンスとして板についた着こなしであるか否かです。

服装が「ブランド頼り」になっている人材は要注意

不思議なもので、決して華美な服装であるわけではないのに、どこか「華」のある人物だと感じさせるかたもいますし、ご自分の体形を理解して洋服を選んでいるのであれば、ご自身のパーソナリティや能力などをきちんと把握されているということでもあると解釈できるでしょう。

 

むしろ、高級ブランドで全身固めているかたなどは、そのかたご自身の個的な魅力以前にブランドの力ばかりが目立ってしまう印象を受けてしまいます。私たち人材サーチの視点からすれば、「ブランド頼りになっていて、自分に自信がないのでは?」とか「見栄っ張りな性格ではないか」という負の側面が気になってきてしまうものなのです。

 

また、候補者のかたとの面談待ち合わせの場所はホテルを利用することが多いのですが、その場所に馴染んでいるか、周囲から浮いていないかということなども、大事なポイントです。

 

[図表]人物のどこを見るのか?

Copyright© All Rights Reserved by Search Firm Japan Corp.
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ちなみに、私の場合、候補者に会う場所、時間帯、そのかたの立場などTPOによって着て行く洋服を選ぶようにしています。

 

例えば、候補者が私服で通勤する人が多い医師である場合。関連業者からの接待が禁止されている業界なので、私がスーツ&ネクタイ姿で会っていれば、それを見た同僚のかたたちのなかには「製薬メーカーなどの業者から接待を受けているのではないか」と誤解されるかたが出てきてしまうかもしれません。

 

候補者に迷惑をかけず、なおかつ私自身が候補者に対して良い印象を与えられるような服装であることを心掛けています。

会社の壁を超えて評価される条件

会社の壁を超えて評価される条件

武元 康明

徳間書店

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